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中田vs.名波の大雨、ドイツW杯決勝。
セリエAダイジェストの神髄とドラマ。
 

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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posted2020/07/20 07:05

中田vs.名波の大雨、ドイツW杯決勝。セリエAダイジェストの神髄とドラマ。<Number Web> photograph by AFLO

“欧州日本人対決”の先駆けとなったペルージャ中田vs.ヴェネチア名波の対決。フジテレビでの中継を凝視したファンも多いだろう。

リッピやデル・ピエロ、そしてジダン。

 それまでW杯決勝はNHKが担当してきたが、ドイツ大会ではNHKが日本戦の中継を優先して決勝の放映権を手放すのだ。ここぞ、とばかりにフジテレビが手を挙げた。

「そうしたら決勝のカードがフランスvs.イタリアになった。イタリア代表は監督が(マルチェロ・)リッピで、(アレッサンドロ・)デル・ピエロをはじめ、『セリエAダイジェスト』を盛り上げてくれた選手ばかり。かたやフランスには元ユベントスの(ジネディーヌ・)ジダン。青嶋に実況をやってもらって、清水秀彦さんと風間八宏さんのダブル解説。これは僕の総決算だと」

 熱っぽく語ったあと、村社は「まあ、いいところだけ思い出して、なんでもストーリーにしたがるのは、年寄りの楽しみだからね」と苦笑した。

「良いバカなことをやりたいな、と」

 現在はアナウンス室のスポーツ統括担当部長を務める青嶋にとって、『セリエAダイジェスト』に関われたことは財産だという。

「僕はもともとバスケットボールをやっていて、入社して最初に担当したスポーツは競馬でした。それが縁あって本格的にサッカー番組に携わらせていただくようになって、その後、日本代表戦やルヴァンカップなど、サッカーの仕事が増えた。未だに『昔、見てましたよ』と声を掛けていただける。感謝しかないです。ただ、あの頃は良かった、には、したくないんですね。サッカーをめぐる環境も、テレビ局をめぐる時代も変わって、自分も年を取りましたけど、もっと良い無茶というか、良いバカなことをやりたいな、と思い続けています」

 今はフジテレビの関連会社の取締役を務める村社は、スポーツの新しい楽しみ方を提示できたのではないか、と振り返る。

「1年間、すべての試合を見続けるのは、やっぱり面白いんですよ。もちろん、つまらない試合も多い。プロビンチャ(地方クラブ)対プロビンチャの0-0とか、目も当てられない。でもね、34節見続けると、その競技の本当の面白さが見えてくるし、年に1、2回、すごく面白い試合に当たったとき、そのありがたみを感じられる(笑)。ハイライトでスター選手の素晴らしいプレーを見るのも楽しいけれど、それとは違う楽しみ方を教えてくれたのが、『セリエAダイジェスト』だったんじゃないかな」

【次ページ】 番組スタッフも開拓者だったのだ。

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