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本田圭佑が語る。カッコつける理由、
「嫌なこともやる」、『自助論』。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2020/06/21 09:05
取材が行われたCSKA時代の本田。2010年、CL決勝トーナメント1回戦のセビージャ戦で30mもの距離から決めた直接FKは鮮烈だった。
「いるのよ、神様って」
――実感としてあるわけだ。4年に1度のW杯でFKが入るとか。
「いるのよ、神様って。がんばっているとプレゼントしてくれるんですよ。だから面白いよね」
――未だに南アフリカW杯の映像が流れると見入っちゃう。
「次のブラジルW杯は3年後でしょう? あかんなこのままじゃ」
――あかんっていうのは、グループリーグを突破できないとか?
「いやいや、オレは優勝を目指しているから。グループリーグ突破って、どんだけ低い目標なん!? 普通に考えたらもう2回しているわけでしょう」
――ベスト16じゃ、面白くもなんともない?
「うん。オレは勝負事で2位でいいと思ったことはない。そんな目標なら参加し―ひんほうがいいよ。行けるってちょっとでも思ってるからやるんであって」
「不意を突いたら一発で気絶させられるんちゃうか」
――それがすごい発想なんだよ。
「だって絶対に負ける喧嘩はしないでしょう。もしかしたらこいつの不意を突いたら一発で気絶させられるんちゃうかって、ちょっとでも思うからやるんであって」
――こちらの意識が低すぎたね。
「もちろん男だったら負けるってわかっていても、やらないかん勝負もありますよ。それでも可能性を突きつめないと話にならん」
――自分の中で優勝までのイメージはある?
「それはそうやわ。ただ、いろんなところで自分の力ではどうにもならないことも起きているから」
――移籍のこと? 何が起こっているのか聞いていいのかな。
「現時点で言えるのは、何も起こっていないっていうこと。何か起こったときっていうのは、サインしたっていうことだからね」
──確かに。
「今回の移籍はね、そんな簡単なことではないしね。大金が必要なわけで。で、このご時世でしょ? そりゃヒデさん(中田英寿)がいた時代のイタリアだったら、どこかしらお金を払えたかもしれないけど。今はいかに安く取って売るかの時代。マンチェスター・シティくらいでしょ、大金を出せるのは」