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1000号記念、Number編集長座談会(中)
長嶋茂雄、サッカー黄金期、名言集。
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph bySports Graphic Number
posted2020/03/28 11:50
爆発的な売れ行きを示した「長嶋茂雄特集」(10号=左)と「サッカーフランスワールドカップ出場決定特集」(432号)
今考えたら100万部刷っても良かったのかも。
井上「私が一番印象に残っているのは、やはり編集長時代にサッカー日本代表が初めてワールドカップに出場したときですね。
これまでNumberで一番売れたのは、サッカーのフランスワールドカップ出場決定を報じた『We did it!』号の翌号です。フランスワールドカップ出場国を紹介した433号『選ばれし者たち』(1997年12月4日)で50万部近い実売数でした。
フランスワールドカップをプレビューした446号『日本代表、史上最大の挑戦』も同じくらい売れたのですが、このときは当時の社長が来て、『井上君、100万刷れないかな』と(笑)。『そりや、無茶ですよ』と断りましたが、今考えたら100万部刷っても良かったのかも。'97、'98年ごろはバブルのような感じでした」
松尾「一般的なバブルは'90年ごろ弾けましたが、出版界は'96年がピークで、'97年からだんだん下がり始めた。そういう意味ではNumberを'80年に創刊できたのは、とてもハッピーなことだったと思います」
世界で勝つという意識を、読者と共有。
河野「僕は最初にNumber編集部に配属になったのが1987年ですが、ちょうどそのころ、Numberを取り巻く環境がどんどん世界に向けて広がっていったんです。
それまではオリンピック以外は日本の狭いなかでしかスポーツを見てなかったのが、F1でホンダがグランプリを勝ったりして、みんなそれに興奮していた。スポーツを語る地平が変わって、広がっていった」
井上「たしかに欧州のスポーツを見るようになったのはF1が大きかったですね。'87年に中嶋悟さんがF1に参戦して、ちょうどそのころNHKの衛星放送が始まって。その後、バルセロナ五輪でNBAがものすごく人気が出たりして、日本でテレビ観戦できる競技も多くなった。
読者の目線が世界に広がるなかで、サッカー日本代表がワールドカップに出るようになって、Numberにとってものすごく大きなコンテンツになった。2000年代になるとさらに進んで、世界に出るだけでなく、世界で勝つという意識を、読者と共有するようになりましたね」