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アマ球界の王道投手を変えたSNS。
ダル、お股ニキとの出会いと起業。
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byTakeshi Shimizu
posted2020/03/15 20:00
自ら率先してコーチングする内田聖人。アマ球界の王道を歩んだ選手が新たな取り組みをしている。
お股ニキ氏との連係で理論を作る。
さて、彼らは具体的にどんな指導をしているのか。2月下旬、NEOREBASEのサイトで告知された実技講習をのぞいた。都内の野球用の室内練習場だ。
社会人野球の現役投手と大学生がサロンを通じて応募してきて実技講習を受けた。
マウンドとキャッチャーの間に測定器のラプソードを置く。ラプソードとはボールのスピードや回転数、回転軸がチェック出来る測定機のことで、ここを通過するボールのデータ、数値はタブレットに瞬時に表示されるのだ。
生徒にピッチングをしてもらって、ラプソードで計測する。内田は後方からフォームを映像で撮る。手元にはタブレットがあって、ラプソードのデータとスマホの再生画像を見ながら科学的な解析、アドバイスをする。主にお股ニキ氏が数字を解説し、内田がテクニカル面を請け負う。2人の補完関係で理論が積みあがっていくのだ。
内田の強みは自分の経験をプラスして相手に知識を落としこむ点だ。なんせ、投げられなかった投手が常時140キロ台中盤までに回復したわけだから、こんな効果的な指導はない。
「数字と感覚的なものの融合ですね」
実技も生徒にはありがたい。大小のボールなどの器具を使って理にかなったフォーム作りの方法を教えた。予定時間を越えるほど熱心なものだった。
自分もマウンドに立って体現していくのが一番いい。相手ともその場でディスカッションできる。
元楽天の横山も指導を受けた。
この日は元楽天の投手である横山貴明も指導を受けに来ていた。横山と内田は早大の先輩後輩の間柄。昨年、共にアメリカ挑戦をした仲でもある。BCリーグの福島を退団した横山はアスレチックスのマイナー契約の話が持ち込まれていて、渡米を控え直前のアドバイスを求めに来ていたのだ。
横山は、指導の成果をこのように話す。
「カットボールを習得したいんですが、(自分のフォームの)サイドハンドだと難しい面もあって、どうしたらいいかと。楽天ではトラックマンで測っていましたが回転軸までわからなかった。その軸もイメージ出来てすり合わせができました。内田とお股ニキさんとリアルな数字を元に意見を言ってもらえて閃いた、有意義でした」
その横山は1カ月間、アメリカ修業をしてマイナーの合否を待つことになる。