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今年のドラフトは大学生捕手が目玉?
北海道には再来年の1位候補も登場。
posted2019/06/20 11:40
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
今年の「全日本大学選手権大会」は、明治大学が6回目の優勝を飾って、幕を閉じた。
決勝の相手は、佛教大学。こう言っては失礼であろうが、予想外の相手だったというのが、明治大にとってもほんとのところだったのではないか。
それほどに、この「大学選手権」という大会は、毎年ほんとに油断ができない。どこからどんなチームが、どこからどんな選手が飛び出してくるかわからない。それだけに、見守る側からしてみれば、こんなに胸躍る楽しみな大会もないのである。
準決勝、佛教大が東海大を逆転で破った試合を見ながら、あるスカウトの方とこんな話になった。
「この佛教大の八木(左翼手)っていう選手、今のヒットで今日(東海大戦)4本目なんですけど、これでこの大会10本ぐらいヒット打ってるはずなんですよ」
スカウトもノーマークだった佛教大・八木。
実際、佛教大のリードオフマン・八木風磨左翼手(3年・176cm68kg・左投左打・京都北稜高)は決勝戦までで8安打を放ち、7割以上の打率をマークしていた。
「今日で3試合見てますけど、最初は“控え”だったのに、見るたびにどんどん上手くなっている。試合をするたびに、試合の中で、どんどん新しいことができている。最初は、バットコントロールが上手いなぁ……ぐらいの印象だったのが、試合が進むにつれて難しいボールに体全体で反応しながら、ヒットゾーンに打球を運ぶ技術を開発しているように見える」
大会前には、関西担当のスカウトからも彼の名前は挙がっていなかったという。
「“甲子園”で上手くなっていく選手って、毎年いるじゃないですか……去年の吉田輝星みたいに。大学にもね、この“選手権”で上手くなっていく選手がいますよね、毎年見てると」
甲子園特有のアドレナリン。それが強烈に作用してビカビカッと輝く球児というのもいるから、いきなり信じてはいけないけれど……と前置きしつつも、「今度の週末に京都で、関西の大学リーグのオールスター戦みたいのがあるんで、そこでも同じようなプレーをしてくれたらね」と。
“リストに載ってくるでしょうねぇ……”
そこまでは言わなかったが、そんな口ぶりだったのは間違いなかった。