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アマ球界の王道投手を変えたSNS。
ダル、お股ニキとの出会いと起業。
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byTakeshi Shimizu
posted2020/03/15 20:00
自ら率先してコーチングする内田聖人。アマ球界の王道を歩んだ選手が新たな取り組みをしている。
プロへの道を閉ざされて考えた。
9月に帰国してプロ球団の入団テストを受けたり、NPBのドラフト会議を待ったが指名はなし。プロへの現実的な道はここで閉ざされる。
しかしさらに、本能がもたげてくる。
「昔から人の下で動くのは得意じゃなかった。独立心が強くて目立ちたがり屋でした」
冷静に見つめてみた自身の性格だという。
これまでは集団の中で歯車の役割をこなしてきた。しかし、自分の性格に素直に沿ってみると、お山の大将が合っている。それこそピッチャーらしいのだ。
「分岐点はドラフトが終わったタイミングです。そこで指導者、教える立場になろうと。サラリーマンをしていたら、何万分の一だけど、野球を教える人間として独立したら一分の一の存在になれる。教えたいという気持ち、還元しなきゃという思いが偽善ではなくてほんとに生まれた。体はまだ、満足に動けます。自分の肉体を実験台にしながら、教えられる指導者になりたい」
オンライン上で野球知識を共有。
行動は早い。11月に「NEOLAB」という個人事業を立ち上げた。12月にアマチュア野球資格回復研修を受講して、土台を整える。
また1月には野球パフォーマンスオンライン研究所「NEOREBASE」というサロンを知人ら4人で開設した。有料でオンライン上のやり取りで情報や知識を共有しコーチング、アドバイスを行う。新しい形態のコーチング集団だ。これまでの経験、培った知識を野球界に伝えていけたら、という思いがアイディアを生み出し、ダルビッシュも入会している。
このサロンのメンバーの1人が「お股ニキ」氏だ。データを元に独自の感性で野球論を記した『セイバーメトリクスの落とし穴 マネー・ボールを超える野球論』は関係者に一石を投じる話題の書籍になっている。
そんなお股ニキ氏とも、内田はもツイッター上で知り合った。共通の知人がダルビッシュであること、とともに、データを介しての技術向上にお互いの思考が合致したのだ。