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19歳ハーランドに今、世界が時めく。
ザルツブルクで磨いた決定力の秘密。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/02/27 11:50
ドルトムント移籍後、これほどまでの大活躍を想像した人は多くないだろう。アーリング・ハーランド。2020年代のフットボールシーンの主役となれる男だ。
ビツェルもフンメルスも大絶賛。
今冬、ハーランドはザルツブルクからドルトムントへ移籍した。順応の時間を長くは取れないため、難しい挑戦になるかと思われた。
だが、新チームに馴染むのに時間は必要なかった。それどころかリーグ戦、カップ戦、CLと、3つの大会におけるデビュー戦でそれぞれゴール。それも、リーグ戦ではハットトリックを達成する暴れっぷりだった。ブンデスリーガでは6試合で9得点、CLではザルツブルク時代のゴールと合わせて今季10ゴールと止まらない。
「19歳の新鋭」。その言葉と結果が一致しない。なにせ、長年主軸で活躍しているエースのようなのだから。
新たなチームメイトからは、絶賛の声ばかりだ。
GKロマン・ビュルキは「アーリングはどんな状況でも100%でいく。これは難しいとか、厳しいというところでも全力で走りこんでいく。ボールを失ってもすぐ立ち上がって走り出す」と褒め称える。
ベルギー代表MFのアクセル・ビツェルは「素晴らしいクオリティを持っているよね。まさに僕らに必要なFWだ。ボールを回していて難しくなったら彼に蹴ることができる。そのメリットは大きい。そうしたパスでも収めてくれるからね」と、存在感の大きさを認める。
そして守備の要マッツ・フンメルスも「プロフェッショナルな選手だ。トレーニングでも常に全力を出し、他の選手も巻き込んでいく。さらにはゴールを決める。文句のつけようがないよ」と、完成度の高い19歳を称賛する。
基盤を確立したザルツブルク時代。
そんなハーランドが、選手としての基盤を確立したのがザルツブルク時代だ。
ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOも、その取り組みを称賛していた。
「アーリングはザルツブルクで素晴らしい成長を遂げた。クラブは、本当に優れた仕事をやってくれたと言える。だから、彼が見せている成長に驚きはないんだ。年齢的にはまだ若い部類に入るが、非常に優れたクオリティを誇っている」
能力は、そのままでは決して輝かない。磨き続けることが大切だ。その点、ハーランドは1試合を通じてどんどん成長していく。