いつでも前向き、練習したがる。

　パリSG戦では、前半途中から抑え込まれ始めていた。相手は経験豊富なチアゴ・シウバとマルキーニョス、そしてフランス代表のDFプレスネル・キンペンベだ。

　囲み込まれ、ボールをキープしきれずに失う場面も少なくなかった。ところが、後半の途中からまた起点となり始めたのだ。

　自分のタイミングだけでプレーするのではなく、いちど相手選手に身体をぶつけるなど、相手が“したい動き”をさせない状況を作り出す。足が長いぶんボールを支配できる範囲も広く、懐が深い選手だ。その利点を最大限に生かすため、自分のエリアを確保することで主導権を握り直したのだ。

　そんなハーランドに、ルシアン・ファブレ監督も全幅の信頼を寄せている。

「素晴らしい仕事をしているよ。素晴らしいメンタリティの持ち主だ。いつでも前向きで、いつでも練習したがっている。練習中のゲームで負けたり、ゴールを決められなかったら、それだけで自分に腹を立てる。

　誰とでもコンビネーションを取れて、すぐに戻って守備で汗をかくこともできる。素早くターンして、左足でも右足でも頭でもゴールを決められる。ボールをもらうための動きが良く、常にパスコースを作ることもできる」

タレントと人間性のコンビネーション。

　ザルツブルク時代の恩師ジェシー・マーシュ監督は、オーストリアのトーク番組でハーランドのことを次のように語ったことがある。

　ハーランドをFWの軸として起用して次の世界への道を切り開いたのだが、その秘密について問われたときの受け答えだ。

「アーリングはタレントと人間性のコンビネーションが素晴らしい。最初の準備期間から私たちは彼のポテンシャルに熱狂していたよ。どんな練習でもゴールに向けて貪欲なんだ。1点決めたからって満足しない。2点取っても3点取ってもそう。3点目、4点目、5点目を狙いに行く。

　そして様々な形でサッカーに関わることができる。狭いスペースで技術を発揮できるし、フィジカル的に強靭で、スピードがあり、高さもある。弱点を語るのは本当に難しい」

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