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19歳ハーランドに今、世界が時めく。
ザルツブルクで磨いた決定力の秘密。
posted2020/02/27 11:50
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
歴史的な瞬間を目の当たりにしたのではないか。
満員のスタジアムに詰めかけた多くのファンが直観的にそう感じたことだろう。
CL決勝トーナメント1回戦、ドルトムントのホームで行なわれたパリSGとのファーストレグで主役となったのは、ブラジル代表ネイマールでも、フランス代表キリアン・ムバッペでもなかった。
ドルトムントのノルウェー代表FWアーリング・ハーランドが2ゴールを含む強烈なパフォーマンスで勝利に大貢献したのだ。
それは、世界的スターの誕生を感じさせるだけの活躍ぶりだった。
衝撃的な2点目に思わず、叫んだ。
ゴール前のこぼれ球に素早く反応して決めた1点目、ペナルティーエリア外から強烈な左足シュートを突き刺した2点目。特に後者は、同点に追いつかれた直後というタイミングでの勝ち越しゴールということに加え、その豪快さ、シュートに至るまでの動きの秀逸さが観衆の度肝を抜き、これ以上ないインパクトを与えた。
77分、突破口を開いたのは途中出場のジオバンニ・レイナ。それにタイミングよくペナルティーエリアのすぐ外で前を向いてパスを受けたハーランドは、ファーストタッチで左足の前にボールを置いた刹那、左足を振り抜いた。
ブラジル代表CBチアゴ・シウバもコスタリカ代表GKケイロル・ナバスも、対応することができない。ものすごい勢いでゴールネットが揺れると、ジグナル・イドゥナ・パルクは狂わんばかりのファンの雄叫びで覆いつくされた。
私も、メモを取る手を止めて思わず席から立ち上がり、スタジアムの歓声に同調して、叫び声をあげてしまった。
いったい何者なのだ――。