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コバチ辞任でバイエルンはどうなる?
後任候補は大物だらけ、あの74歳も。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/11/12 08:00
コバチ前監督辞任直後のドルトムント戦でバイエルンは快勝。短期的な“ショック療法”は効果があったが、果たして。
ラングニックだとより一層厳しい。
ドイツ国内の有力候補といえばラルフ・ラングニックが挙げられます。ラングニックは昨季限りでRBライプツィヒの監督とスポーツディレクターを辞して第一線から退きました。
とはいえ、ラングニックが提唱した「ハイプレッシャーフットボール」は現在のブンデスリーガの主流になりつつあり、かつてラングニックの下でコーチやアカデミー組織などに従事したユリアン・ナーゲルスマン(現RBライプツィヒ監督)、デイビッド・ワグナー(現シャルケ監督)、マルコ・ローゼ(現ボルシアMG監督)などの新進気鋭がそれぞれのクラブで指導能力を発揮し始めています。
ただし、ラングニックはコバチ監督以上に規律に厳しい指揮官です。それこそ言うことを聞かないビッグスターとの間で軋轢が生じそう。フィジカルを重視することから若手を重用しがちなラングニックが、バイエルンに新風をもたらすのも面白いのですが、これは実現性に乏しい予測かもしれません。
伝説のハインケスは御年74歳……。
もうひとり、かつて3度バイエルンを率い、ブンデスリーガ、DFBポカール、そしてCLの3冠を達成した伝説の指導者ユップ・ハインケスの再登板もあり得ますが、御年74歳。ヘーネス会長より7歳も歳上ですから、無体な気がします……。
フランクフルトの街中のスーパーマーケットで買い物をしてアパートメントに戻ったら、大家さんと出くわしました。
「アイントラハトがバンヤンに勝ったじゃない。今度はいつパレードをやるの?」
サッカーに疎い大家さんは、2017-18シーズンのDFBポカール決勝でアイントラハトがバイエルンに勝って30年ぶりにカップ制覇を果たし、翌日市内で約30万人もの優勝祝賀パレードが催されたのを引き合いに、今回もパレードがあると思い込んでいるようです。
バイエルンの危機はドイツ国内のトップニュース。ファンから、そしてアンチからも、その一挙手一投足が注目される。それも“盟主”の宿命かもしれません。