ラグビーPRESSBACK NUMBER
背番号11は福岡堅樹か、レメキか。
ジョセフHCを悩ます嬉しい選択肢。
posted2019/10/07 12:20
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
勝負を決めるインパクトプレーヤーだ。これまでとは異なる役割で、福岡堅樹が存在感を発揮している。
ここまで一度も背番号11を背負っていない。9月6日の南アフリカとのテストマッチで右足ふくらはぎを負傷した影響から、ロシアとのW杯開幕戦は欠場を強いられた。アイルランドとの第2戦も、当初は登録から外れていた。
ところが、左ウイングで先発するはずだったウィリアム・トゥポウが試合直前に負傷をしてしまう。リザーブだったレメキ ロマノ ラヴァがスタメンに繰り上がり、福岡はメンバーに加わった。
「アイルランド戦に出ることを目標に準備をしてきたので、試合に出られる状態ではあったんです。ただ、ヘッドコーチとも相談をして、100%の状態になってからプレーしたほうがいいということで、最初はメンバーから外れていました。そのなかで色々と変更があって、アイルランド戦に急きょ出ることになったんですが、もちろん準備はしていました。身体としては100%ではないにしても、試合ができる状態ではあったという感じです」
「最後まで走りきりたい」
アイルランド戦の50分、足を痙攣させた山中亮平に代わって福岡はピッチに立つ。見慣れない背番号23を着け、お馴染みの左ウイングのポジションに入る。
「今大会初出場ですから、もちろんドキドキはありました。けれど、自分らしいパフォーマンスができる状態という意味では、しっかり準備はできていました」
チャンスが巡ってくる。59分だった。中村亮土が松島幸太朗を飛ばしてラファエレ ティモシーにパスし、愛称ティムのクイックパスから福岡がインゴールへ飛び込む。
「ティムがあそこでもらった時点で、絶対にパスを放ってくれるのは分かっていたし、ティムも自分がそこにいるのを分かっていて、僕を見ないでパスを放ってくれた。お互いにあうんの呼吸というか、ティムを信頼して走り抜けるだけでした」
自身にとってのW杯初トライで日本にリードをもたらした福岡は、後半終了間際にもパスをスチールして自陣から独走する。しかし、インゴールまで5メートルに迫ったところで相手に引き倒された。
「あそこで取らせてくれないのが、世界の強豪なんだと思います。あそこで取り切って、アイルランドにボーナスポイントを与えずに勝つことも大事だった。次の試合も同じようなシチュエーションがあれば、最後まで走りきりたいです」