セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
笑顔の冨安健洋に地元記者も期待。
古豪ボローニャで現状の序列は?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2019/07/30 17:00
ボローニャに加入した冨安健洋。日本代表でも軸となったセンターバックが守備の国イタリアでどんな結果を残せるか。
冨安は笑い、陽気に朗らかに踊る。
チームはいいところなく0-3で完敗し、本田は言い逃れできないミスを招いたとして試合後正当に批判された。
10節目のシーズン初先発で試合勘不足だったとか、攻撃の選手にペナルティエリア内の守備能力を求めるのは酷だとか、本田を擁護する材料がなかったわけではない。しかし、もしミスを犯したのが守備を本職とするDFだったら、どんな監督であれ確実に失格の烙印を押すことだろう。
セリエAに初めて挑む外国人DFは、誰しも不安と緊張を心に隠しているものだ。だが、冨安は笑っていた。
キャンプ最初の練習でグラウンドに入った冨安は、アフリカ系選手のステップを真似て、陽気に朗らかに踊った。大きな口を開けて、笑っていた。老練なプレーが冨安の長所だというけれど、若さの発露のように大きく笑える選手は、短時間でチームにもホームタウンにも受け入れられたことを思い出した。
「やっぱり試合に出てナンボの世界」
かつての森本貴幸や長友佑都がそうだった。若かった彼らはイタリアで道を開いていった。守備の国には、今季も8連覇王者ユベントスのFWクリスティアーノ・ロナウドをはじめ、各国代表のストライカーたちが集う。世界中の猛者たちとマッチアップする毎週末が、きっと1年後の東京五輪につながっている。
それでも今、何より優先すべきはボローニャで先発の座を勝ち取ることだ。
「やっぱり試合に出てナンボの世界だと、去年(ベルギーで)あらためて感じた。ここから開幕までの1カ月が本当に大事。できる限りのことをしなきゃいけないと思う」
DFとしての本領が試される。血湧き肉躍らずにはいられない、トミの挑戦が始まった。