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笑顔の冨安健洋に地元記者も期待。
古豪ボローニャで現状の序列は?
posted2019/07/30 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Uniphoto Press
守備の国に、初めて日本人センターバックが挑む。日本代表DF冨安健洋が、シント・トロイデン(ベルギー)からボローニャに移籍した。
7月16日にチームへ合流し、1次キャンプを終えた後、入団会見に臨んだ彼は「トミと呼んでください」とイタリア語で呼びかけた。そして、移籍を決めた理由を述べた。
「ディフェンスの戦術を学びたいからボローニャを選びました。細かい守備の個人戦術を学びたい」
世界中のあらゆるDFにとって、イタリアでプレーすることは格別の緊張とプレッシャーを伴う。守備の国では、DFとしての資質がどこよりも厳しく吟味されるからだ。
「まずは試合に出ることが目標です」
冨安は、地元紙の記者たちが苦笑するほど同じフレーズを繰り返した。それはきっと、そびえるハードルを見据えながら“乗り越えてやる”という彼の決意表明だった。
ミハイロビッチ就任でチームが一変。
ボローニャは、昨シーズンのセリエA後半戦で、決して小さくないサプライズを起こしたチームだ。今年1月末の時点で彼らはセリエBに片足を突っ込んでいた。
長く18位に沈み、降格危機に瀕していたクラブはフィリッポ・インザーギ監督を解任し、新たに闘将シニシャ・ミハイロビッチを招聘。闘将の下でチームは生まれ変わり、その後の17試合で驚異の勝ち点30を稼ぎ出した。最終節では強豪ナポリを破り、17年ぶりに本拠地7連勝。逆転残留どころか中位集団のトップともいえる10位獲得に至った。
シーズンの総勝ち点44は、カナダ人実業家ジョーイ・サプートが2014年に会長職に就いてからの最高成績で、10位確定によりリーグが支給する賞金630万ユーロもクラブにもたらされた。闘将自身「私のサッカー人生で見聞きしたことがない」と自画自賛したほどの快進撃だった。