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笑顔の冨安健洋に地元記者も期待。
古豪ボローニャで現状の序列は?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2019/07/30 17:00
ボローニャに加入した冨安健洋。日本代表でも軸となったセンターバックが守備の国イタリアでどんな結果を残せるか。
今季の補強予算は5000万ユーロ。
7度のスクデットを誇る古豪とはいえ、ボローニャはもう随分長いこと欧州カップ戦出場を狙うようなクラブではなくなっていた。しかし、昨季後半戦の怒涛の勝ちっぷりを見たカナダ人オーナーは、いよいよ機は熟したと見たのか、今季の目標をUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得に定めた。
闘将ミハイロビッチも望むところ、と続投を快諾。7月4日のシーズン始動を前に、フロントは破格ともいえる約5000万ユーロもの補強予算を計上し、今夏市場での攻勢を内外に示した。
ボローニャはEL出場を視野に入れた、競争力あるクラブへ生まれ変わろうとする転換期にある。
冨安の獲得もその中長期プロジェクトの一環だ。ボローニャは今シーズンに賭けている。
白血病告白も「笑って練習に励め」。
それだけに、ミハイロビッチ監督の白血病罹患の告白は、クラブの内外を震撼させた。11日のキャンプインに姿を現さなかった指揮官は、13日にクラブハウスで会見を開き、自身の病名を告げながら「この戦いに必ず勝つ」と宣言。クラブも続投とサポートを明言した。
ボスニア内戦を生き延びた闘将は会見に先立ち、Skypeのビデオ通話を通じて、キャンプ地の選手たちと話をした。暗い顔をしている選手たちへ「落ち込むんじゃない」と檄を飛ばしたという。
「笑うんだ。笑って練習に励め。おまえらは立派なチームだろうが」
ミハイロビッチは現在、ボローニャ市内の総合病院で専門治療を行っている。指揮官の難病告知のショックから立ち直りつつあるチームは、コーチ陣と25日からノイシュティフト(オーストリア)での2次キャンプに入った。高地トレーニングを積みながら、昨季の4-2-3-1をベースにブンデスリーガ勢とのプレシーズンマッチに臨む。