“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
柏DF杉井颯がトップに上がるまで。
客観視し、腐らず、新視点を常に……。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/06/16 10:00
柏レイソルのチームカラーに染まってプレーする杉井颯。チーム昇格のためにも、頼もしい新戦力となりつつある。
「『レイソルの杉井颯』として歩いていきたい」
トップチーム昇格とはいえ、彼はこの状況に浮かれてなどはいない。岐阜戦の後、彼はこう口にしていた。
「プロ1年目で試合に出られるとは思っていなかったので、嬉しいし、左足のキックは十分に通用すると思った。ですが、守備の部分においては球際の戦い、空中戦、最後に身体を張る部分だったり、単純なことだけど、そういうのがまだ身体に習慣化されていないと思いました」
夢を叶えたことで、あの熱い空間の虜になってしまった。だが、杉井はその欲望に盲目的にはならない。自分を冷静に見つめる目を持っているからだ。
「もちろん、これから出られない試合もたくさんあると思う。ここで試合に出たからといって、これからの出番が保証されているわけではないし、逆に出られない時こそ重要だと思っています。
結果に一喜一憂せずに、お世話になった人たちに恩返しをしながら、『レイソルの杉井颯』として歩いていきたいです」
ピンチをチャンスに変えた彼だからこそ、これから先もこの熱い想いを胸に、レイソルのために成長を続けられるはずだ。結果に一喜一憂しない、強固な信念と共に――。