ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
今季CL決勝は誰もがヒーロー候補。
トッテナムvs.リバプールを大展望。
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph byGetty Images
posted2019/05/28 17:30
サラー、マネを生かすプレーが光るフィルミーノ(左)。強烈な3トップを相手にトッテナムはどう戦うか。
どの選手にもストーリー性がある。
一方で、トッテナムは今大会の台風の目となったアヤックスを相手に初戦を0-1で落とし、第2戦も前半で2失点を許して、こちらも3点ビハインドという大ピンチに立たされた。
ここでチームを救ったのは、ソン・フンミンではなく、これまた伏兵のルーカス・モウラだった。
ケインの代役だった男の鮮烈なハットトリック。そして、ここでも交代出場から力強いポストプレーでルーカスのスピードを存分に引き出したスーパーサブ、ジョレンテの影が。誰も予想しなかった控え組の貢献によって、リバプールに負けず劣らずの奇跡の逆転勝ちが現実のものとなったのだった。
このように、リバプールもトッテナムも文字通りの“総力戦”でCLを勝ち上がってきた。レギュラーかサブかに関係なく、それぞれの選手に特筆すべきストーリーがあって、それが紡ぎ合わさって、決勝へと導かれたのだ。
復帰のケインは燃えているだろう。
ファイナルの舞台で輝くヒーローは、果たして誰になるだろうか。
まず、間違いなくこの戦いに燃えているのが、今季公式戦39試合出場で24ゴールを挙げているトッテナムのエース、ケインだろう。
前述のシティ戦で負った足首のケガによって、ケインはシーズンのラスト1カ月を棒に振った。だがケガの状態は快方に向かっており、決勝には復帰できる見込み。一度はもうシーズンが終わったかに思われたが、思わぬ形で「ボーナスステージ」のようなラストゲームを戦うチャンスを得た。
その機会を与えてくれたチームメートに誰よりも感謝しているのは彼のはずで、ピッチに戻れば自身のゴールで恩返しをしたいと強く願っているはずだ。
ケインとリバプールの大黒柱ファンダイクのマッチアップは必見だ。今季、プレミアリーグでの対戦では9月、3月の2試合ともリバプールが2-1で勝っているが、実はその2試合でファンダイクはイングランドが誇るヒットマンをいずれも完璧な守備対応で完封している。
昨季までの直近4シーズンで5ゴールと、ケインはリバプール戦を得意にしていた。ところが、ファンダイクにマークされるようになってからはほとんど仕事ができておらず、まともにシュートさえ打たせてもらえていない。