スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
女子サッカーに熱狂するスペイン。
観客は6万人超、視聴率は20%も。
posted2019/05/29 11:30
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
今年6月7日に開幕する女子ワールドカップに向け、スペインの女子フットボール界がかつてない盛り上がりを見せている。
1月30日に行われたコパ・デ・ラ・レイナ(女王杯)準々決勝では、アスレティック・クルブの本拠地サン・マメスで、平日夜の開催ながら4万8121人の観衆を集めたことが話題となった。
これまでスペイン女子フットボール史上最多観客動員は、旧サン・マメスで2003年に記録した3万6000人だった。その記録を16年ぶりに大幅更新したのも束の間、3月17日には女子トップリーグのリーガ・イベルドローラ、アトレティコ・マドリー対バルセロナの首位決戦が6万739人を記録した。
また、4月にはバルセロナが女子チャンピオンズリーグの準決勝でバイエルンを破り、スペイン勢として初めてファイナルへ進出。決勝ではオリンピック・リヨンに完敗したが、国内メディアは史上初の快挙を大いにたたえた。
そのバルサも国内では無冠に終わり、リーガはアトレティコが3連覇を達成。5月11日の女王杯決勝ではレアル・ソシエダがそのアトレティコを逆転の末に破り、初タイトルを手にしている。
女王杯決勝は生中継、W杯も全試合放送。
それらのチームの主力選手を中心としたスペイン代表23名の平均年齢は24.6歳。今回のワールドカップ出場24カ国の中では日本の24歳に次いで2番目に若いメンバー構成となったが、周囲の期待値は4年前の初出場時を上回るものがある。
何より、スペインでは女子フットボールへの注目度が格段に上がった。
先の女王杯決勝は史上初めて民放大手の「テレ5」で生中継され、平均165万5000人の視聴者と14.8%の視聴率を記録。瞬間最大視聴者数は279万7000人に上り、同視聴率は20.3%を記録した。
フランスで開催されるワールドカップも、民放スポーツチャンネルの『GOL』で全試合を無料放送されることが決まっている。