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「でも感謝しかない」が柏木陽介の本音。
主将2年目、浦和だからこその大変さ。
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/01 17:30
走るファンタジスタとして台頭した柏木陽介も今年32歳となる。キャプテン2年目としてどのようなプレーを見せるか。
「俺は支えてもらっている、と」
Jリーグとアジアチャンピオンズリーグの2冠を狙うためには、どうしてもこのシーズン序盤はメンバーが固定されがちだ。もちろん、チームは勝利とタイトル獲得を目的とする集団。そこに加われずにいる選手はジレンマを抱える。
そこでいかにチームの一体感を生み出し、1つになって戦うか。キャプテンとして、できることは限られる。
「高卒、大卒1、2年目の若い選手は、たとえ試合に出られなくても(選手としての)素地を作る時期だと受け止めながらチャンスを狙っていける。でも即戦力として来た選手は、試合になかなか出られないと、苦しくてしんどいことがある。食事に行っていろいろ話したりすることはあるけど、だからと言って、自分がどうかしようということはない」
柏木としては、常にチームメイトに伝えたい気持ちがある。
「俺は支えてもらっていると実感している。そこは有難いなと思っていて、みんなをリスペクトしているっていう話はしています」
上手くいかない時にも埋もれずに。
みんなのお陰。柏木はキャプテンに就任して、改めてそのことをピッチ内外で実感した。
「俺は『個』ではサッカーができないタイプ。個人で打開するサッカーが主流になってきたけれど、そうではなかった時代を生きてきたプレーヤーの1人でもある。パサーとして戦っている選手は、もうほとんどいない。それが重宝される時代ではない。
だから上手くいかない時にも、埋もれてしまわないようにと心がけている。それにオリヴェイラ監督が来て、強くしてくれている。しっかり信頼してもらっていると感じながらできている」
指揮官からは「自分らしいプレーができず、納得のいかないところはあるかもしれない。ただ、一生懸命に走り闘う姿勢を見せてくれている。そこを評価している」と言われた。
「そのなかで自分も良さを少しずつ出して、コミュニケーションが合ってくれば、もっと良くなっていく。そういう感じかな。自分のプレーができずイラつくことはまだあるけど、ミシャの時のように、交代させられてイライラすることなんてない。
セレッソ戦(〇2-1)では自分が退いたあとに2点決まって、悔しさはあったけれど、勝ててとても嬉しかった。もっと悔しい想いをしている選手はたくさんいる。だから、そういう姿勢で臨んでいきたい」