甲子園の風BACK NUMBER
奥川恭伸、キミは何に負けたのか?
応援、サイン盗み……論点多き試合。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byKyodo News
posted2019/03/29 14:30
今大会No.1ピッチャーと称されていた星稜・奥川恭伸(左端)。習志野に敗れた直後、チームメイトたちと引き揚げるシーン。
「(習志野の)応援に要因があったと思います」
奥川は言う。
「バッテリー間(の意思疎通)もそうでしたし、連携プレーがうまくいってなかった。少なからず(習志野の)応援に要因があったと思います。
(4回のバント処理について)ああいう練習はしているので、いつもならゲッツーを取れたプレーだと思うんですけど、いつもどおりではなかったというところで、みんな頭が真っ白になっていたかもしれない。入っているべきベースカバーがいなかったり、コーチングだったり、外野の連携でお見合いがあったりもした。練習から徹底してやっていかなきゃいけないと思いました」
7回、2アウト二塁から三塁線を破られ(記録は三塁手のエラー)勝ち越しを許す。
9回には「失投」と悔やむ高めの直球を、8番・兼子将太朗に左翼席まで運ばれた。
奥川の言葉から考える2つの敗因。
星稜打線は、2回途中から登板した習志野の背番号1、飯塚脩人を攻略できなかった。9回133球を投じて被安打7、失点3、10個の三振を奪った奥川は、敗戦投手となった。
本人の口から語られた言葉の中に敗因を見出すとすれば、2つだろう。
1つは、打たせて取る投球を試みながら「甘いボールでカウントを取りにいってしまったこと」という、技術的なポイントだ。たしかに高めに浮くボールが多く、習志野打線に狙い打たれた。
もう1つが、会見の中で何度も発せられた「気持ち」の問題だった。
「少し気持ちが切れてしまっていたというか。前の試合が終わった後に、次の試合だっていうことを言ってはいたんですけど、少し心の中で、前の試合よりも……というところがあって。すごく反省してます」
「初戦、すごく力のある相手(履正社)で、全員で勝つんだという気持ちがあったけど、今日は少し丁寧にいってしまった。最後まで向かっていく姿勢というものをちょっと崩してしまったんじゃないかなって」