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若い芽が育たないマンCは大丈夫?
ペップ絶賛の至宝すら低い序列。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byUniphoto press
posted2019/02/08 17:00
シティにとって財産とも言えるフィル・フォデン。しかし彼に出番が巡ってこないのは悩みとも言える。
シティCEOが明かす育成の壁。
2年ほど前、フェラン・ソリアーノ(シティCEO)が『ガーディアン』紙のインタビューに応えていた。
「こと育成に関し、スペインやドイツがイングランドを上回っているのだとしたら、リーグのシステムが大きな影響を及ぼしている。バルセロナやレアル・マドリー、バイエルンといった強豪のセカンドチームは、下部リーグで真剣勝負ができるからね。下部リーグといっても2~3万人の観客が集まるケースもあるから、プレッシャーを実体験する意味でもプラスになるはずだ。
将来有望な若手をトップチームに帯同し、超一流と毎日トレーニングさせればレベルは上がるかもしれないが、やはり限界がある。残念ながらプレミアリーグには、ラ・リーガやブンデスリーガのようなシステムが存在しない」
板倉も含めた16人の派遣戦略。
だからこそシティは、セルティック(スコットランド)、ガラタサライ(トルコ)、グアルディオラの実弟ペレが株主を務めるジローナ(スペイン)などに、16人もの選手をローンで派遣しているのだろう。
1月、ベガルタ仙台からシティに移籍し、オランダのフローニンゲンに加入した板倉滉もこのパターンだ。ただ、戦略・戦術的にシティと似通ったクラブへのローンを原則としているにもかかわらず、現時点で即戦力は現われていない。
したがってシティの来シーズンは現有勢力を軸に、手薄な左サイドバックとセンターバックに投資する公算が大きい。今シーズンのメンバーを揃えるまでの補強費は8億ユーロ(約998億円)。チーム創りにはカネがかかるということだ。
あのバルセロナですらカンテラ育ちが少なくなってきた。パリ・サンジェルマンもカネの臭いをプンプンさせ、バイエルンも他人様の主力でメシを食っている。シティの強化にだけ目くじらを立てることはない。経済力というアドバンテージを存分に活かすべきだ。