球体とリズムBACK NUMBER
森保Jとイングランドに共通点あり。
勇敢な若きタレントと勤勉な監督。
posted2018/10/24 10:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Takuya Sugiyama
サムライブルーとスリーライオンズ。2つの島国の代表チームはいま、ポジティブな空気に包まれている。
日本代表がウルグアイを4-3で下した前日、欧州ではネーションズリーグの一戦でイングランドがスペインに3-2で勝利した。前者はフレンドリーマッチで、後者は──たとえリバプールのユルゲン・クロップ監督に「世界のフットボールでもっとも意味のない大会」と言われようとも──れっきとした公式戦だ。日本はホーム埼玉で戦い、イングランドが敵地セビージャに乗り込んだ点も異なる。
ただどちらも、自分たちよりも風格のある相手から貴重な白星をもぎとった。
日本のウルグアイ戦の勝利は22年ぶりで、イングランドが敵地でスペインを破ったのは31年ぶり。勇敢に戦い、オープンプレーから何度もネットを揺らしたところも一緒だ。
そしてよくよく凝視してみると、現在の両代表には共通点が少なくない。
どちらも若手有望株が好調。
まずなによりも、若きアタッカーたちが躍動している。
それぞれの試合で先制点を奪ったのは、どちらも23歳の南野拓実とラヒーム・スターリングだ。その後、日本は大迫勇也の追加点のあとに20歳の堂安律が決め、イングランドの2点目は同じく20歳のマーカス・ラッシュフォードによるものだった。鋭いドリブルや強烈なミドルでウルグアイ守備陣を脅かし続けた中島翔哉と、イングランドの前線にパスを供給し続けたロス・バークリーはともに24歳だ。
そんなヤングスターたちの活躍に、日本のベテランMF青山敏弘は「頼りになる」と感心し、イングランドのこの日のスタメン最年長選手キーラン・トリッピアーは「完璧なパフォーマンス」と喜んだ。森保一監督は「(日本の選手たちの)アグレッシブな気持ち」を讃え、ガレス・サウスゲイト監督は「選手たちの勇気が素晴らしかった」と似た評価を述べている。