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絶妙な高橋采配で巨人がヤクルト撃破!
第1ステージ突破を導いたある盗塁。
posted2018/10/15 12:50
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
圧巻のピッチングだった。
9回2死。ヤクルトの坂口智隆外野手の打球がセンターに飛んだ瞬間に、マウンドから振り返った巨人のエース・菅野智之投手は大記録を確信して万歳した。
その打球を中堅の陽岱鋼外野手が捕球すると、マウンドには女房役の小林誠司捕手が駆け寄り抱き合った。ポストシーズン史上初のノーヒットノーランを達成した瞬間だった。
「最高の気分です。達成感がすごくあります。6回くらいから意識していた。プレッシャーのかかる場面でできて満足しています」
113球を投げて許した走者は、7回2死から山田哲人内野手に許した四球の1人だけ。打者28人に対して2球目までにストライクをとったのが16度で、3球以内でアウトにとった打者が10人と、常にストライクを先行させる圧倒的な制球力で文字通りツバメ打線を牛耳った。
これでレギュラーシーズンから41イニング無失点という圧倒的な内容でヤクルト打線を封じ込んだ。
「強気に誠司が引っ張ってくれました。阿吽の呼吸といいますか、あいつも(記録を)意識してリードしてくれたと思う。いつも引っ張ってくれます。まさか自分がそこに名前を刻めるとは思っていなかった。その名に恥じない活躍をこれからしていかないといけないと思う」
CSファーストステージ最大のテーマ。
エースの圧巻ピッチングでクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ突破を決めた巨人だが、実はこの下克上への道の第1歩を切り拓いたのは、初戦の1つの盗塁だった。
前日の第1戦。ヤクルトのマウンドは通算8連敗中と巨人が苦手にしている右腕・小川泰弘投手。セ・リーグのクライマックスシリーズのファーストステージでは初戦勝利チームのステージ突破率が8割1分8厘と圧倒的な数字が残る中で、巨人に課せられた最大のテーマがこの苦手小川の攻略だったのだ。