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ロナウドを封じろ――。最強FWと
守備の国イタリアDFたちの熱き攻防。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2018/09/19 16:00

ロナウドを封じろ――。最強FWと守備の国イタリアDFたちの熱き攻防。<Number Web> photograph by Getty Images

4節サッスオーロ戦で移籍後初ゴールを含む2得点を挙げたロナウド。8連覇を目指すユベントスは4連勝で無敗のまま、首位に立っている。

「ガゼッタ」紙の採点も大絶賛。

 パルマは本拠地エンニオ・タルディーニでユーベを迎え撃ち、互角に戦った。

 やはり3トップの左で先発したC・ロナウドに対し、B・アウベスは9歳年下の相棒CBガリヨーロを従え、37歳のベテランDFゴッビと31歳の無名DFヤコポーニからなる最終ラインを仕切りながら、親友を封じ切った。地元紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の試合評が振るっている。

「彼らは(レアルの)セルヒオ・ラモスでもバランでもなく、(バルサの)ピケでもないのに!」

 キエーボにしろ、パルマにしろ、地方クラブである彼らは、キックオフの前に“7連覇王者ユベントス+C・ロナウド”という圧倒的ネームバリューに気圧される弱みがないとはいえない。しかし、彼らはそれぞれ前半の早い時間に先制されたショックで足元を踏みしめ直した。

 加えて、パルマには中国からイタリアに出戻ったFWジェルビーニョという飛び道具があり、監督ダベルサはユーベに対して高速カウンターという攻め手をきちんと準備していた。世界王者フランス、そしてユーベの中軸であるマテュイディに決勝ゴールを許し、1-2で破れはしたが、パルマは最後の最後まで王者を苦しめた。

今季の得点王争いはスローペース。

 今季のセリエA得点王レースはスローペースで始まった。

 4節終了時点でレースの先頭に立つのはともに4ゴールのFWピアテク(ジェノア)とFWデフレル(サンプドリア)の伏兵2人だ。ピアテクは子供の頃、部屋にC・ロナウドのポスターを貼っていた。

 昨シーズンの得点王イカルディ(インテル)は4戦終えて未だゴールネットを揺らしていない。昨季開幕からゴールを量産し王座を分け合ったFWインモービレ(ラツィオ)も未だ1点のみで、イタリア代表でも振るわず苦しんでいる。2年前の得点王イグアイン(ミラン)も4節カリアリ戦でようやく今季初ゴールを挙げた。

 それでも、2006年と2015年に2度得点王を獲ったストライカー、トーニは今季の得点王候補がCR7とイグアイン、イカルディの3人であることを信じて疑わない。彼らは必ず目を覚ます、と太鼓判を押した上で、C・ロナウドとイタリアのDFたちとの戦いの激化を予言する。

「ここはイタリアさ。年間40ゴールはいくらC・ロナウドでも難しい数字だ。それでも彼が多くのゴールを上げるのは間違いない。頭でも足でも、中からでも外からでも、FKでもPKでも彼は点が取れる。一度ゴールを奪い始めたら、DFたちにとっては難儀だろうね」

【次ページ】 彼らも生活がかかっているのだ。

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