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ロナウドを封じろ――。最強FWと
守備の国イタリアDFたちの熱き攻防。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/09/19 16:00
4節サッスオーロ戦で移籍後初ゴールを含む2得点を挙げたロナウド。8連覇を目指すユベントスは4連勝で無敗のまま、首位に立っている。
1対1では抜かれてしまうから。
まだ24歳と若いが、バーニはれっきとした守備の国のDFだ。守ることに関しては自分なりに一家言持っている。
「1対1になってはダメだ。絶対に抜かれる。だから、その状況を作らせない、スペースを与えないことが大事だ」
裏をかかれないようにプレーの先も読み過ぎないようにする。つねに3~4人のユニットを組んで囲もう。
それが、CBでコンビを組むDFトモビッチと交わした約束事だった。
キエーボのダンナ監督は攻撃の司令塔ビルサを先発から外し、守備重視の4-5-1で臨んだ。現地メディアはキックオフ直後、低く構えた彼らを自殺行為だと見なした。キエーボのボールポゼッションは最終的に28%にも満たなかった。
だが、キエーボはC・ロナウドの正式合流からまだ間もなく、チームの戦い方が固まっていないユベントスの隙を突いてしぶとく粘った。
ロナウドを倒して名を上げてやる!
2-1とリードし大金星もあるかと思われた69分、C・ロナウドのゴール正面でのシュートに身を投げ出して防いだDFカッチャトーレは、まるでゴールを決めたみたいに両の拳を握りしめた。
一世一代の大舞台で“俺たちはクリロナを倒して名を上げるんだ!”という覇気が漲っていた。86分の交錯プレーで鼻骨を骨折させられるまで、ベテランGKソレンティーノのCR7への対応も完璧だった。
DFバーニは7月上旬に始まったキャンプから、みっちり連係を深めてきた仲間たちとクリロナを抑えることには成功した。だが、その代償としてユーベの他のプレーヤーたちのケアへ割く体力は残っていなかった。
心身の消耗が激しく、75分に痛恨の同点オウンゴールを献上すると、94分にはFWベルナルデスキへのマークを怠り、決勝点を奪われた。薄氷の勝利を奪ったのは、マークがずれた分のスペースを正確に突くことのできる選手を揃えるユーベだった。