スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
やはりロナウドの穴は大きいのか。
アトレティコとレアルの好対照。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2018/08/19 17:00
シメオネ監督のもとでの鉄の結束はいまだ健在。今季のアトレティコはバルサ、レアルの牙城を切り崩せるか。
ロペテギも解決策を見いだせず。
ただし、彼らが目立っていたのは主導権を握った時間帯のみで、2-2とされた後は存在感を失っていった。ベイルと共に期待されているアセンシオも前半に2度惜しいシュートを放った以外は目立った活躍ができず、後半の早い段階で交代させられている。
苦しい時にチームを救える選手こそ真のエース。そう考えれば、スーパーカップでの彼らのパフォーマンスは不十分だったと言わざるを得ない。
この日は守備陣のイージーミスが直接の敗因となったが、コンディションが万全ではない現時点では仕方のない部分もある。
むしろ懸念すべきは攻撃面でのアイデア不足だ。一度相手に引かれるとサイドからクロスを入れる以外に崩しの形がなくなる問題については、ロペテギもまだ解決策を見出させていない。あとは基本的には個々のタレント任せなので、現時点ではC・ロナウドがいなくなったぶんだけ攻撃力も得点力も減少した印象だ。
ペレス会長は不気味なまで沈黙。
こうした状況下、ロペテギはストライカーと攻撃的MFの補強を訴えているようだが、ここまでフロレンティーノ・ペレスは不気味なまでに沈黙を保っている。
移籍期間の終了間際に何度も大型補強を実現してきた会長のこと、このまま何の動きもなく終わるとは思えない。ただ本命のネイマールとムバッペにあっさりフラれてしまった今、ロナウドの存在を忘れさせるほどの超大物は見当たらない。
マドリーダービーに始まったヨーロッパの2018-19シーズンは、マドリーを舞台としたチャンピオンズリーグ決勝で幕を閉じる。
果たしてその時、ワンダ・メトロポリターノのピッチには何色の花吹雪が舞い散るのか。そこに、マドリーの2チームの姿はあるのだろうか。