スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
やはりロナウドの穴は大きいのか。
アトレティコとレアルの好対照。
posted2018/08/19 17:00
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
新キャプテンのゴディンがトロフィーを頭上に掲げると、赤と白の紙吹雪が勢いよく舞い上がった。
チャンピオンズリーグ3連覇中のレアル・マドリーと、6年ぶり3度目のヨーロッパリーグ王者となったアトレティコ・マドリー。エストニアのタリンを舞台に行われたUEFAスーパーカップ2018では、延長戦の末に後者が6年ぶり3度目のタイトルを手にした。
「今日はもちろん、この勝利を堪能するべきだ。敗れた際は苦しみ、涙し、怒り、塞ぎ込んでいたのだから」
試合後、シメオネはそう言って静かに喜びをかみしめていた。
CLでレアルに屈した雪辱を果たす。
2013-14シーズン以降、アトレティコは一昨季まで4シーズン連続でR・マドリーにチャンピオンズリーグ初制覇の夢を打ち砕かれてきた。そのうち2度は決勝で、いずれもショッキングな形で敗れている。2014年は終了直前に同点ゴールを喫し、延長戦で力尽きた。2016年はPK戦での決着だった。
ラ・リーガやコパデルレイでは苦手意識を克服しているのに、チャンピオンズリーグではどうしても勝てない。
そんな状況が続いてきた彼らにとって、タイトルは違えどヨーロッパのコンペティションで宿敵を破った意義は大きい。
しかも延長戦で2ゴールを奪っての逆転勝利は、過去2度のチャンピオンズリーグ決勝でアトレティコに欠けていたもの――勝ち切る強さ、を感じさせるものだった。
宿敵相手のタイトルマッチとはいえ、まだプレシーズンの最終段階。両チームともフィジカル、戦術ともに万全の状態にはない中での一戦において優先すべきは、勝負へのこだわりではなく、目前に控えた開幕への準備である。