フランス・フットボール通信BACK NUMBER
仏代表を“本物のチーム”にした男。
誇り高きリーダー、ポール・ポグバ。
text by
トマ・シモン with フランソワ・ベルドネThomas Simon avec Francois Verdenet
photograph byRichard Martin
posted2018/08/02 17:00
ピッチ上では厳格で献身的なリーダーとして振る舞っていたポグバ。優勝後のロッカールームでは、誰よりも喜びを爆発させていた。
「監督とチームが僕を成長させた」
「例えばアントワン(グリーズマン)は、ピッチの上で下がるように指示を出してくれる。
また自分から進んで見ることはないけど、メディアの批判も自然と目や耳に入ってくる。それが結果として僕の進歩を促してくれる。
監督とチームが僕を成長させてくれた。彼らのおかげで僕はここまで来ることができたんだ」
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大会が進むにつれて、発する言葉に重みが増していった。
同時に彼は率先してチームの先頭に立ち、行動でもチームメイトたちを引っ張るようになった。そうした積極的なリーダーシップこそが、このフランス代表に欠けていたものだった。
自己犠牲を率先してきたポグバ。
決勝のクロアチア戦で彼が決めたゴール――左足ミドルによるフランスの3点目は、数字が示すこの試合の彼の働きぶり(55回のボールタッチと86%のパス成功率、10回の戦い(デュエル)の勝利、2度のインターセプト)以上の鮮明なイメージを見るものに与え、この大会で彼がいかに際立った存在であったかを印象づけたのだった。
ピッチの上のポグバは、個人のエゴを消し去りチームのために自ら範を垂れるプレーに徹した。
率先してたくさん走り、守り、戦って、チームの連帯感を作り出した。
またロッカールームでも、戦う勇気とすべてをチームのために捧げる自己犠牲の精神を強調しながら、それぞれの試合の前に必ず発破をかけたのだった。とりわけ「ともに戦う」気持ちの強さは、チームメイトたちの心を大いに鼓舞した。
「このワールドカップのポール(・ポグバ)は本当に強い存在だった」とアディル・ラミは優勝が決まった後に告白している。