プレミアリーグの時間BACK NUMBER
激動のプレミアリーグ監督事情。
ファンの声で指揮官の首が飛ぶ!!
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2011/12/06 11:00
攻撃的な試合を見せながらも、ビッグクラブとの接戦をことごとく競り負け遅れを見せるチェルシーのビラスボアス。結果を出すために与えられた時間はそう長くはないが
世界的な人気を獲得する一方で、地元ファンとの距離が遠のくばかりとも言われるプレミアリーグ。収益拡大のために、由緒あるスタジアムの命名権が売却され、移転を検討するクラブも跡を絶たない。
だが、今もなお、試合に通い詰めるサポーターの意見がクラブの決定に影響を及ぼす局面がある。監督解任の決断時だ。
地元への密着度が低い外国籍や投資感覚のオーナーでさえ、観衆による監督の更迭要求には耳を傾ける。チームの成績不振がクラブの業績不振を招く前に、現場責任者の首を挿げ替えたい経営者にとっては、独断と非難されることなく行動を起こすための“キュー”となるからだ。
ついに“宿敵の一味”監督を馘首した、サンダーランドのサポーター。
最新の事例は、サンダーランドによるスティーブ・ブルースの解雇。
11月末に今季の解任監督第1号となったブルースは、サンダーランドの地元ライバルのファンとして育った“ジョーディ(ニューカッスル出身者)”だ。サポーターの心中には、「宿敵の一味」という反発の火種が2年半前の就任当初から燻っていたに違いない。今季は、そのニューカッスルとの第2節(0-1)を皮切りにホームで1勝しかできないまま、第13節で降格候補のウィガンに逆転負け(1-2)を喫すると、観衆の我慢が限界に達した。「ジョーディのデブ野郎は去れ!」という合唱は、スタンドで観戦していた米国人オーナーの耳に、解任への“ゴー・サイン”と聞こえたことだろう。
ブラックバーンのサポーターは、毎週監督解任の合図を送る。
最下位で11月を終えたブラックバーンでは、毎週のようにサポーターが経営陣への“合図”を送っている。
彼らは、試合開始から1分と経たないうちに、スティーブ・キーンへの退任要求を口にする。クラブが監督を非難するプラカードの持込を禁じたホームゲームでは、『キーン更迭』と書かれた横断幕を風になびかせながら、スタジアム上空をセスナ機が旋回した。