ファイターズ広報、記す。BACK NUMBER
野球と生きる――。多田野と榎下が
ファイターズで歩む第二の人生。
text by
高山通史Michifumi Takayama
photograph byHokkaido Nippon-Ham Fighters
posted2018/08/03 11:15
多田野(左)はアメリカで2年、日本ハムで7年プレー、通算18勝20敗。榎下は'11年入団。5年間で35試合に登板し、通算2勝1敗。
「僕の1つの恩返しだと思っている」
交流戦期間は一軍に同行した。
ほかイースタンの公式戦に足繁く通い、即戦力の逸材を発掘するため社会人野球の都市対抗も視察した。
ファイターズのアマスカウト陣のトップ、山田正雄スカウト顧問の隣に陣取り、視点を学んだ。多岐に渡る経験を積みながら「編成マン」として研修中である。
「1つの勝利、そしてファイターズのこの先に少しでも協力できたらいいと思っています。それが、僕の1つの恩返しだと思っているんです。
今は、1つでも勉強できたらいいと思っています。それだけです」
戦力外構想を予感していた昨夏。
国際グループの榎下は現在、約半年ぶりに日本に滞在している。
アリゾナでの春季キャンプに備えて1月に渡米し、そのままアメリカに拠点を置いていたのである。日本時間7月20日に帰国したばかり。その翌日に三十路、30歳の誕生日を迎えた。
昨年まで7年間、ファイターズで現役をまっとうした。
ちょうど1年前の8月ごろ、今シーズンの戦力構想から外れることを予感していたという。ファームでの起用法などから悟り、ついに通達の日を迎えた。その時の思いを、こう回想した。
「ファームで緊急登板が増えたりしてきて、来年は……というのは、思っていました。
自分の中では、あれだけやってもダメだったんだから、と納得もできました。だから、スッキリした気持ちで引退できました」