ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
W杯ロスに見逃し配信はいかが?
マルチアングルで超絶技巧を再び!
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2018/07/17 17:00
ベルギーの高速カウンターを様々なカメラ視点で見ると、個人能力と連動性が高い次元で融合しているのがよく分かる。
日本が屈した、あの強烈なカウンター。
特に強烈な印象を残すのは、ベルギー戦のあのラストプレーである。本田圭佑のCKをクルトワがキャッチした瞬間にアザール、デブライネが反応する。そこからのデブライネのドリブルと絶妙な斜め前方へのパス、ムニエのダイレクトでの折り返し、後ろに目がついているかのようなルカクのスルー、そして……。クルトワから9秒台で完結した“悪魔のカウンター”の凄み。日本にとっては悪夢の一撃だったが、何度見ても正直美しいとしか言いようがない。
ほかに「戦術カメラ」向きの高速カウンターと言えば、フランスのムバッペが見せた、アルゼンチン戦でのドリブルからのPK奪取も外せない。こちらはアプリ(1:04:00付近からスタート)だけでしか見られないが、ファーストタッチでまずタグリアフィコを置き去りにし、必死にカバーに入ったマスチェラーノから離れるようなコース取りでドリブルする。
そして最後の砦であるDFロホのファールを誘うかのように、ボールを大きく蹴り出し、狙い通りPKを得たことが分かる。最高時速44kmと言われる超スピードとともに、冷静なプレー判断も次代のスーパースター候補であることを感じさせる。
監督の表情が分かる「ベンチ」も。
ちなみにピッチ外の様子を捉えた「ベンチ」も興味深い。これは文字通り、両チームで指揮を執る監督を中心としたベンチの様子を捉えたものだ。例えば日本vs.コロンビア。大迫勇也の決勝ゴールが決まった瞬間、「ベンチ(右)」では西野朗監督の様子を捉えている。
西野監督と選手たちのハイタッチが“空振り”に終わったことは、すでに報じられるところだ。ただ、その後の西野監督の振る舞いこそが本質だろう。
ボトルの水を口にした後、わずかばかり笑顔を見せた西野監督だったが、選手やスタッフが歓喜に沸く中でいち早く真剣な表情に戻る。それは勝ち点3を奪うために集中し直す勝負師の顔だった。これもまた、W杯という極限の舞台で戦う人が見せる魅力だろう。
とにもかくにも、超絶のスーパープレーを堪能するもよし、「5レーン」など最先端の戦術を分析するもよし。
W杯は終わっても、W杯を楽しみ、W杯から学べる期間はまだまだある。