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小林悠、代表落選はもう過去の話。
水戸戦という原点でのリスタート。 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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photograph byGetty Images

posted2018/07/11 07:00

小林悠、代表落選はもう過去の話。水戸戦という原点でのリスタート。<Number Web> photograph by Getty Images

Jリーグを代表するFWとなった小林悠。水戸ホーリーホック時代の経験もまた彼のキャリアに刻まれている。

「幸司さんのレベルに衝撃を受けた」

「水戸に行って衝撃を受けたのは幸司さんでした。正直、自分のプレーは通用するなと思ったんですよ。でもGKのレベルが、学生とは全然違いました。幸司さんの身体能力の高さは、本当に凄かったです。当時30歳ぐらいだったのかな。見た目は怖いけど、やさしかったですね。ご飯も連れて行ってくれました」

 特別指定選手としての登録が承認された直後の7月20日には、小瀬スポーツ公園陸上競技場(当時)のJ2第27節のヴァンフォーレ甲府戦で、スタメン出場。小林にとっては、これがJリーグデビュー戦である。

「緊張はなかったです。お客さんがあんなに多い中で試合をするのは初めてで、思い切ってやったのですごく楽しかった。あとは家族が甲府まで見に来てくれたんです。ずっとプロを目指してやっていて、特別指定ですけど、そういう姿を見せられたのは嬉しかったですね」

 試合の立ち上がり、セットプレーからゴールネットを揺らしてゴールを決めた……かに見えたが、味方のファールにより取り消され、惜しくも幻のゴールになった。結局、得点を挙げることはなかったが、全部で5試合に出場。プロと日常を過ごし、その舞台で経験を積んだ水戸での1カ月は、小林のキャリアの中でかけがえのない宝物となっている。

気づけば大学リーグでも注目株に。

 その後は、周囲からの目も変わった。夏休み明けの関東大学サッカーリーグ2部では、プロ経験者である小林は大きな注目を集める存在となる。

「試合前に『あいつが小林だぞ』みたいになってましたね(笑)。リーグのスカウトも見に来てくれるようになりましたし、自分にもプロになるチャンスがあると感じるようになりました。水戸での経験は自分にとって大きかった」

 このシーズンは関東大学サッカーリーグ2部で22試合19得点を挙げ、得点王を獲得。年明けの4年生に上がる前には、川崎の宮崎県綾町キャンプにも参加した。大学4年生の大半は、怪我とリハビリで棒に振ってしまったが、無事にプロ入りを果たしている。そして現在までの活躍はご存知の通りである。昨年2017年にはJ1得点王にも輝き、Jリーグ年間最優秀選手にも輝いた。日本代表選手まで駆け上がり、いまや多くのものを背負ってピッチに立つ存在となった。

【次ページ】 「覚えているサポーターいるかな(笑)」

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