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男子バレーの熾烈な正セッター争い。
藤井か関田か深津か、監督の決断は。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2018/06/29 10:30
ネーションズリーグ大阪大会最終戦のイタリア戦で、第2セット終盤からコートに入った関田。フルセット勝利に貢献した。
関田はサイドのエースへのトスが特徴
そして翌週のドイツ大会では、藤井に代わって関田がAチームで先発出場。福澤、柳田将洋とのパイプのコンビは徐々に合って得点につながり、ドイツ、アルゼンチンから勝利をもぎとった。
関田は真ん中からの攻撃を積極的に使いながら、サイドのエースにも気持ちよく決めさせられることが強みだ。東洋高校時代は柳田、中央大学時代は石川祐希とともに日本一に上りつめたことが実証している。
大阪大会ではレフトへのトスの精度が低く決定率が上がらなかったが、ドイツ大会以降は修正され、柳田の攻撃力も引き出されていた。
似て非なる2人のスタイル。
藤井と関田は2人とも真ん中のゾーンを積極的に使うセッターだが、その理想は似ているようで異なる。
理想とするトス配分について聞くと、藤井はこう答えた。
「ミドルブロッカーとパイプで4割、オポジットが4割、レフトが2割。ミドルとオポで点数を取りたい。アウトサイドはサーブレシーブとか、いろいろ負担がかかるので。ただ、マサ(柳田)は打たせてテンションを上げるタイプだとか、人それぞれ考えながらですけどね」
一方、関田はバランスを重んじる。
「クイックが25%、パイプが25%、ライト25%、レフト25%。大学の時に、アメリカ代表がそういう割合を目標に設定しているという話を石川に聞いて、それを参考にしました」
関田は、2016年のリオデジャネイロ五輪世界最終予選でメンバーに抜擢され、代表デビューした。だが全日本でもパナソニックでも、深津英臣の控えだった。
昨年も全日本に選出されたが、早々にパナソニックに帰された。ならばパナソニックでレギュラーを奪おうと、夏場は必死に取り組んだ。強化合宿では先頭に立って走り込み、深津が全日本で不在の間、コンビも着々と仕上げていった。昨シーズンの開幕前、オポジットの清水邦広は「今年は関田が一番頑張っている。めちゃくちゃ自分を追い込んでいる」と語っていた。