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男子バレーの熾烈な正セッター争い。
藤井か関田か深津か、監督の決断は。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT

posted2018/06/29 10:30

男子バレーの熾烈な正セッター争い。藤井か関田か深津か、監督の決断は。<Number Web> photograph by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

ネーションズリーグ大阪大会最終戦のイタリア戦で、第2セット終盤からコートに入った関田。フルセット勝利に貢献した。

「絶対にまた這い上がってこい」

 だが深津は冷静にこう語る。

「プラスに考えればそうですけど、実際は、僕自身はそうじゃないと思っています。パナソニックで求められるものと、ジャパンで求められるものは違うので、求められていることに対応しなきゃいけない。そこが単純に僕は今できていないから、こういう形になっているだけだと思う。

 だからこれからは求められていること、“クイックとパイプ”を意識してやっていかなきゃいけない。『なんで選ばれないんだろう?』と考えると、やっぱりそこがすごく大きいと自分で感じています」

 主力チームを離れる時、中垣内監督とブランコーチからこう言われたという。

「お前なら腐ることはないと信じているから、心配はしていないけど、本当に一生懸命やって、絶対にまた這い上がってこい。期待しているぞ」

アジア大会で優勝して返り咲くために。

 いろいろな思いを飲み込み、アジア大会チームの合宿でも、以前と変わらず声を出し、若い選手を引っ張る深津の姿があった。同じセッターの大宅真樹は、「オミさん(深津)は本当にすごい。尊敬します」と胸を打たれていた。

「今は、『このチームで、アジア大会絶対優勝してやる!』という気持ちになっています。それがこっちで与えられた仕事。ここで結果を残すことによって、またA代表に戻れるきっかけにもなる」

 そう言って、深津は悔しさをこらえて前を向く。

 実績に関係なく、チームの目指す攻撃を実現できるセッターがコートに立つ。シビアで熾烈な司令塔争いが、日本代表をさらに引き上げていくことを期待したい。

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