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男子バレーの熾烈な正セッター争い。
藤井か関田か深津か、監督の決断は。
posted2018/06/29 10:30
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO SPORT
全日本男子バレーの今年最初の国際大会、ネーションズリーグの予選ラウンドが終了し、日本は6勝9敗の12位で大会を終えた。
ネーションズリーグは今年新設された大会で、16チームが毎週3試合ずつ5週にわたって総当たり戦を行う。強豪国が参加する中、日本は4週目までイタリア、イラン、ドイツなど格上のチームからも勝利を挙げ、6勝6敗の五分で決勝ラウンド進出の可能性も残していた。
しかし最終週の中国大会で中国、セルビア、カナダに3連敗を喫した。
それでも今大会、チームの目指す方向性が見えていたことは収穫だった。特に明確だったのが攻撃だ。
今年5月の記者会見で全日本の中垣内祐一監督は、「クイックとパイプ(コート中央のゾーンからのバックアタック)にどんどんトスを集めて、その比率を高めていくという昨年目指したポイントを引き継ぎ、さらに速くする。クイック、パイプは我々の生命線になりうる」と語った。ネーションズリーグではそれが形になっていた。
新スタイルを実現する2人のセッター。
目指す攻撃をコート内で実現していたのが、2人のセッター、藤井直伸と関田誠大である。
所属チームの東レでもクイックを積極的に使うトス回しが持ち味の藤井は、昨年代表デビューすると、代表でも持ち味をいかんなく発揮した。それまでの全日本はミドルブロッカーの得点が少なく、攻撃がサイドに偏り相手ブロックに的を絞られやすいという課題があったが、そこが改善された。監督やフィリップ・ブランコーチの信頼をつかみ、今年も首脳陣は藤井を正セッターにと考えていた。
ネーションズリーグ初戦のオーストラリア戦で、藤井は徹底的にクイックを使った。ミドルブロッカーの李博は13本中11本のスパイクを決め、4本のブロック、サービスエースと合わせてチームトップの19得点を挙げる活躍。李の対角の山内晶大も12本中9本決め、セットカウント3-1で勝利し、好スタートを切った。