バレーボールPRESSBACK NUMBER
男子バレーの熾烈な正セッター争い。
藤井か関田か深津か、監督の決断は。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2018/06/29 10:30
ネーションズリーグ大阪大会最終戦のイタリア戦で、第2セット終盤からコートに入った関田。フルセット勝利に貢献した。
「やってられない」と思う瞬間はあっても。
それでも、Vリーグの開幕セッターは深津だった。そして司令塔・深津のもとでパナソニックは天皇杯、Vリーグ、黒鷲旗の3冠を達成した。
「やってられない」と思うことはないのかと聞くと、関田はこう答えた。
「もちろん思う時はありますよ。これだけやっても、スタメンだめなんだ……とか。努力が足りないのかな、何がダメなのかな、とか考えますけど、結局はバレーが好きなので」
今年の全日本合宿では、鬼気迫る表情でコートを走り回る関田の姿があった。
「(Vリーグで)試合に出ていなくてもこうやって選んでいただいたので、絶対につかみとってやろうという気持ちが強かったです」
その関田に今、大きなチャンスが巡ってきている。
ベテラン深津は主力チームを外れて……。
その一方で、今、我慢の時を過ごしているのが深津英臣だ。
深津は'14年から'16年まで全日本の不動の正セッターで、石川や柳田など若手が開花する助けになった。昨年は藤井の控えに回ったが、主将として献身的にチームを支えた。その後の'17-'18シーズンはパナソニックを3冠に導き、国内で改めて存在感を発揮した。
しかし今年の全日本では、深津は5月から、ネーションズリーグを経て9月の世界選手権を目指す主力チームから離れ、8月に行われるアジア大会を目指す若手主体のチームに参加している。
その理由について、中垣内監督はこう語った。
「深津はVリーグ、天皇杯、黒鷲旗で優勝した非常に優秀なセッター。彼ができるのはよくわかっているし、深津の能力についてはもうある程度把握している。だから今年は(今まで出場機会の少なかった)関田に注目したいと考えてのことです」
今年、全日本が一番のプライオリティを置いているのが世界選手権だ。世界選手権とアジア大会の日程が近いため、アジア大会は別チームで臨むことになった。しかしアジア大会も非常に重要な大会のため、そこでも結果を残すために経験豊富な深津に託されたとも考えられる。