バレーボールPRESSBACK NUMBER
男子バレーの熾烈な正セッター争い。
藤井か関田か深津か、監督の決断は。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT
posted2018/06/29 10:30
ネーションズリーグ大阪大会最終戦のイタリア戦で、第2セット終盤からコートに入った関田。フルセット勝利に貢献した。
18歳西田有志の加入で藤井も生きる。
18歳のオポジット西田有志の加入は藤井にとっても大きかった。
今年4月、初めてコンビを合わせた西田について、藤井は「ニコ(ジョルジェフ・ニコラ)に上げているような感覚」と話していた。ジョルジェフは2016/17V・プレミアリーグで東レが優勝した時にMVPを獲得したオポジットだ。
彼に近い速いトスを打ちこなす西田が入ったことで、クイックとライトの速い攻撃を軸に、東レを優勝に導いた時のような得意のリズムで攻撃できていた。
相手がクイックをマークしてくると、次はパイプ攻撃の頻度を増やし、さらに相手ブロックを翻弄することを目指した。しかし、その前につまずいてしまった。
3週目の大阪大会では、なかなか藤井らしいリズムが作れなかった。サーブレシーブを揺さぶられたことも一因だが、藤井にとって生命線とも言える李とのコンビが合わなかったことが大きい。
不調の藤井にかわって関田が力を見せる。
1週目のフランス大会、2週目のブラジル大会を戦い、ブラジルから帰国して2日後に大阪大会開幕というハードスケジュールによるコンディション低下が原因だった。
「自分のタイミングがいつも通りじゃないから、李さんにはすごく迷惑をかけている。ブラジルからの移動は僕自身初めてで、うまく(コンディションを)作れなかった。
ボールの下に入るのがちょっと遅くなったり。それをわかった上でのトス回し、例えばもう少しタイミングを早く跳ぶようにしたり、いつもよりトスを高めに出すよう意識したり、工夫をしながら整えていかなきゃいけないと思っています」
そんな時、チームを救う活躍を見せたのが第2セッターの関田だった。大阪大会で日本はブルガリア、ポーランドに連敗したが、3戦目のイタリア戦では第2セット終盤から関田がコートに入り、フルセットの勝利に貢献した。
関田はクイックに加えてパイプ攻撃を多用。ミドルブロッカーをBクイックに入らせて相手のミドルを引きつけ、福澤達哉のパイプ攻撃がノーマークになる場面が多々あった。
コンビが合わず得点につながらないものも多かったが、相手ブロックの意識に植え付けることはできた。