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元浦和のバジール・ボリの栄光。
「マルセイユは街そのものがクラブ」 

text by

トマ・シモン

トマ・シモンThomas Simon

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photograph byPatrick Gherdoussi/L'Equipe

posted2018/06/05 11:00

元浦和のバジール・ボリの栄光。「マルセイユは街そのものがクラブ」<Number Web> photograph by Patrick Gherdoussi/L'Equipe

今でも25年前の栄光は色あせない……マルセイユの街では、バジール・ボリはずっとスター選手である。

「彼らは20分で試合の行方を決めてしまった」

――OMに欠けていたものは何だと思いますか?

「ゴール前20mでは絶対にミスを犯してはならない。こちらがミスしたときから、相手はポジションを保ってゲームコントロールを始めた。その点で彼らが一枚上手だった。

 僕ら(OM)を無力化しさらにミスを犯すのを待ち、その瞬間が訪れると、グリーズマンはスティーブ(・マンダンダ)をよく知っていて、どういう反応をするか予測することができた。

 それが最初の20分間に起こったことだ。彼らは20分で試合の行方を決めてしまった。

 ゴールとそれに続く(ディミトリ・パイエの)負傷退場(32分)で決勝は終わった。僕はそう感じた」

――1993年と2018年は、決勝までの道のりが比較的平坦だったという共通点があります。

「簡単に決勝まで行きつくことなどあり得ない。絶対にだ。決勝に至るチームは、全員が同じ野心を持ち全力をあげてそれを実現しようとしたチームだけだ。相手も同じ野心を持っている。それを上回ったときにはじめて決勝への道が開ける」

'93年と現在を比較することはもう終わりに。

――アントワン・グリーズマンがOMを屈服させたのは……。

「彼は素晴らしい選手で、この決勝にすべてを賭けていた。そんな相手を向こうに回して戦わねばならないのは……」

――あなたたちのときも、相手に優れたフランス人ストライカー(ジャンピエール・パパン)がいました。

「彼が交代でピッチに入ったとき(58分)、僕らにもエリック・ディメコがいて、しっかりと対応できた。状況は同じではなかった」

――つまりグリーズマンの前には、彼に対処できるディフェンダーがいなかったと……。

「いや、そうは言っていない。比較はできないわけで……」

――何はともあれ今もあなたはOMがこれまでに戦った5度のヨーロッパカップ決勝('91年、'93年がCL、'99年、'04年がUEFAカップ、今季がEL)で、得点を決めたただひとりの選手です。

「そうだが、そういう話ももう終わりにするべきだ」

【次ページ】 2年前、100%勝てると確信していて負けた。

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