オリンピックPRESSBACK NUMBER
萩野公介、絶不調から驚異の7連覇!
日本選手権で味わった屈辱と栄光。
posted2018/04/09 16:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT
リオデジャネイロ五輪の競泳で金銀銅メダル・コンプリートを成し遂げた萩野公介(ブリヂストン)の水泳人生には、試練が多い。しかし、その試練が彼を強くしている。
競泳のパンパシフィック選手権(8月、東京辰巳国際水泳場)とアジア大会(8月、ジャカルタ)の代表選考会を兼ねた日本選手権が4月3日から8日まで東京辰巳国際水泳場で行なわれた。池江璃花子の日本新記録連発に沸き上がった大会。萩野にとってはジェットコースターのような6日間だった。
初日の3日に行われた400m自由形では、2位でゴールした後にしばらく動けず、ショックを受けている様子がありありだった。4度の優勝経験がある得意種目で自身が持つ日本記録より4秒57遅い3分48秒47。優勝した江原騎士に2秒近くの差をつけられたうえに、最後は3位になった高校3年生の吉田啓祐に0秒22差まで追い上げられた。あと3mあったら抜かれていたかもしれないほど。パンパシとアジア大会の派遣標準記録に達することもできなかった。
「僕自身、整理するのに時間がかかる」
そう言って肩を落とした。
体調を崩してパンパシもアジア大会も難しく……。
不本意なレースになった要因のひとつは、昨年から悩んでいる、自由形のフォームの崩れという技術的な問題。そしてもうひとつは冬場の練習量が足りていなかったことからくる体力的な問題だ。
萩野にはこの冬、年末年始に体調を崩し、練習できない時期が約1カ月あった。日本選手権にエントリーできるかどうかというほどだということも周辺から聞こえていた。
日本選手権欠場は、パンパシやアジア大会の代表から外れるということになる。
だが、どんな状態でも諦めないのが萩野だ。