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「挨拶すらできない選手」「遊びに来たのかと…」“史上最強”と言われた競泳日本代表が「崩壊」した日…オリンピック個人競技でなぜ“チーム力”が重要なのか?

posted2026/02/27 11:04

 
「挨拶すらできない選手」「遊びに来たのかと…」“史上最強”と言われた競泳日本代表が「崩壊」した日…オリンピック個人競技でなぜ“チーム力”が重要なのか?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

アトランタ五輪競泳女子400mメドレーリレー予選3組で5位に終わった日本チーム。左から千葉すず、青山綾里、中村真衣、田中雅美

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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ミラノ五輪で計6個のメダルを獲得したフィギュアスケート日本代表。躍進の裏には、個人競技でも一致団結した“チーム力”があった。記事後編では、競泳日本代表の事例を見つつ、五輪での“チーム化”の利点を考える。【全2回の後編】

◆◆◆

「史上最強チーム」が崩壊した日

「個人競技こそ、チーム力が重要」

「チームでなければ戦えない」

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 その方向のもとに、個人競技でありながら日本代表のチーム化を図り、反響を呼んだ事例がある。競泳の日本代表だ。1996年アトランタ五輪後、その取り組みが始まった。だいぶ時間は経ったが、その本質は今日の競技においても変わりない。

 きっかけは、そのアトランタ五輪だ。このときの競泳日本代表は、特に女子に世界ランク1位のタイムを持つ選手が複数いたほか、2位、3位とそれに近い位置にいる選手たちもいて、「史上最強」の呼び声が高かった。複数の金メダルをはじめメダルラッシュの期待も寄せられていた。

 ところがいざ開幕すると、メダル候補であったはずが自己ベストにほど遠いタイムで決勝進出すらできないケースもあり、結果、メダルはゼロ。「惨敗」と強い批判、非難を浴びた。そこから立て直しを図り、2000年シドニー五輪で銀2、銅2の計4個、04年アテネでは金3、銀1、銅4の計8個のメダル……と躍進を果たした。

個人競技でも“チーム化”するメリット

 その中心にいたのがアトランタ五輪後にヘッドコーチに就任した上野広治氏である。

 上野氏が立て直しの柱として打ち出したのが「日本代表のチーム化」だった。

 上野氏はアトランタ五輪日本代表の不振を検証し、このような結論に達した。

「選手、コーチが個々、ばらばらにレースに臨んで毎日はね返された大会。コーチとコーチ、選手とコーチ、選手同士、いろいろな面でまとまりを欠いた」

 それはどういうことを意味するのか。

「競泳は一人のコーチが長年にわたり同じ選手を指導する競技なので、見すぎているために選手のちょっとした泳ぎの変化を見落とすことがあります。むしろほかのコーチが気づいたりする。でも『自分の教えている選手じゃないから』と見て見ぬふりをしていた。情報を共有するという考えがなく、オープンマインドでもなかった」

【次ページ】 「コーチと選手の間に溝」「選手の中でグループが…」

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