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簿記に宅建、行政書士試験まで!?…東大一家の競泳パリ五輪代表・松本信歩が語る“令和の文武両道論”「どちらかを捨てる必要は全くなくて」
posted2024/05/01 11:02
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
(L)AFLO、(R)Getty Images
3月に行われた競泳パリ五輪代表選考会の200m個人メドレーで2位に入り、自身初となる大舞台の切符を獲得した早稲田大学4年の松本信歩選手(東京ドームスポーツ)。父母はともに東大卒で、弟も東大水泳部の3年生。自身も全国屈指の進学校から早大へと進学し、現在はスポーツビジネスを専攻する。かように「文武両道」を地で行く活躍を見せている松本選手だが、限られた時間をどう活用しているのだろうか。<前後編の後編/前編から読む>
松本が早大に入学した2021年の夏。コロナ禍の影響を受け、1年延期となった東京五輪で大橋悠依(イトマン東進)が200mと400mの個人メドレーで2つの金メダルを獲得した。未知のウイルスとの戦いや、過去類を見なかった延期など逆風も多かった東京五輪で、大橋の泳ぎは大会を通じてのハイライトのひとつにもなった。
早大入学後に急成長した松本
同種目のライバルが脚光を浴びる姿を見て尊敬の念を抱く一方で、3年後のパリ五輪を見据えた時、松本自身も日本ランキング上位に入っていることにも気がついた。高校まではおぼろげだった目標の輪郭が、その頃からにわかに現実味を帯びることになった。
そしてそれをきっかけに、松本は急成長を見せる。
大学日本一を決めるインカレでは、1年時から昨年まで200m個人メドレーで3連覇。今年の年明けには同種目で派遣標準記録も突破するなど、一気に五輪代表入りを射程圏内に収めていた。3月の代表選考会でも勢いそのままに、自己ベストのタイムで大橋に次ぐ2位。念願だったパリ五輪出場権を手中にした。
加えて、大学入学後の松本の活躍はスポーツ分野だけに留まらなかった。
日本トップクラスのスイマーでありながら、学業面も疎かにしたくないという思いから、毎年のように資格試験にも挑戦してきた。