マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
SB二軍キャンプの有望株と非情さ。
今宮健太に加えてまたライバルが。
posted2018/02/18 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
2月のプロ野球キャンプにやって来るのは、選手と監督、コーチだけじゃない。
「スタッフ」と呼ばれ、練習の段取りや手助けをするバッティングピッチャー、ブルペンキャッチャーに用具係の人たち、「フロント」と呼ばれる広報、営業、スコアラーにスカウトたち。
つまり、球団に所属するほとんどの人たちがキャンプ地にやって来るから、その数総勢100人を軽く超すといわれている。
ソフトバンクの宮崎キャンプは一軍、二軍に三軍までが、同じ「生目の杜運動公園」の中の施設で練習を続ける。
A組(一軍クラス)が練習する「メイン球場」は高校野球の公式戦も行えるほどの立派な設備だし、ほかにも野球のできるグラウンドが3面と50m四方の大きな室内練習場があって、それらのすべてを使って91人の選手たちが練習する光景は壮観である。
「やっぱりプロは一軍でなきゃ」
そんな中で、アッと思う一瞬があった。
「メインから、こっちのサブグラウンドに来た時のさみしさっていうんですか……やっぱりプロは一軍でなきゃって思う瞬間ですね」
若い選手がそんなことをつぶやいていた。
キャンプ巡りのファンや報道陣、球界関係者でにぎわうメイン球場と隣り合って、サブグラウンドにはネット裏にわずかな人が座れる程度のスタンドがあるだけで、周囲に高い高いネットを張り巡らせた、いわゆる“練習グラウンド”である。
両翼100mほど。広さは十分だが、プロらしい華やかさとはほど遠い、地面と空だけの空間だ。
二軍、三軍の若い選手たちが練習する中に、揃いのソフトバンクのジャージを着た一群が彼らの動きを見つめている。彼らを見い出し、プロに導いたソフトバンクのスカウトたちである。