彼らより上の選手を探してこないと。

　小川一夫編成部長が「二軍監督」となって現場復帰し、そのあとを継いだ永井智浩編成部長（元・投手）以下、10名のスカウトたちが全国をカバーしている。

「これからアマチュア野球のシーズンが本格的に始まるにあたって、今のソフトバンクの選手たちのレベルが実際どのくらいなのか。特に、二軍、三軍の若い選手のレベルですね。そこをしっかり把握しておかないと……」

　ひとりのスカウトが、そんな話をしてくれた。

「そのために、このキャンプで選手たちの動きをしっかり見て記憶しておくんです。少なくても、彼らより上の選手を探してこないと話にならないわけですから」

　そんな話をしてくれながら、その視線の先には、常に選手の姿を鋭く捉えている。

プロ有数の強肩でも“B組”ですから。

　曽根海成（京都国際高）の投げた遠投のボールが、低いライナー性の軌道で伸びると、レフト定位置で構える選手のグラブを「パシッ！」と鳴らした。

「すばらしい肩でしょ…ウチだけじゃない、プロでも有数の強肩だと思いますよ。あれでも“B組”ですからね、ウチは」

　育成で3年間頑張って、昨季、支配下登録を勝ち取った5年目の内野手だ。昨夏のフレッシュオールスターでもMVPを獲得した若手のホープ。

　こちらのほうは勝手にそう考えていた。

「確かにそうかもしれませんけど、若手のホープなら、いくらでもいますから、ウチは」

　去年のちょうど今ごろだ。

“A組”に抜擢されていた曽根海成が、メイン球場の守備練習で今宮健太と組んでショートを守っていた。三遊間からのダイレクトスローなど、むしろ今宮より目立っていたことを思い出した。

「そのショートに、今年は楽天から西田（哲朗）を獲った。よそから見れば、今宮で磐石に見えると思うんですよ。そのショートにさらに補強している。ウチはそういうチームですから」

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