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井口資仁の名はシカゴで永遠に残る。
反骨の逆転ホームランと、世界一。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2017/07/02 07:00
2005年、シカゴを沸かせた井口も42歳となった。NPB現役最年長野手として、千葉ロッテでラストシーズンを戦っている。
「結局はあの一発で、決まったようなものだった」
2005年のポストシーズンの仮設取材席は、左翼側の改修中のVIPルームにあった。その中には何人か、レッドソックスの番記者もいて、井口の逆転本塁打が飛び出した瞬間、彼らの顔は想定外の出来事に一様に青ざめていた。
「結局はあの一発で、レッドソックスとのシリーズが決まったようなものだった」
と再びブラム。その試合に勝ったホワイトソックスは翌々日の第3戦も勝って、レッドソックスをスウィープ。リーグ優勝決定シリーズでも西地区王者で優勝候補だったエンゼルスを4勝1敗で下し、46年ぶりのワールドシリーズ出場を果たす。その大舞台でもナ・リーグ王者のアストロズ(2012年までナ・リーグに所属)を4連勝とスウィープ。1917年以来88年ぶりの世界一に輝いたのである。
優勝10周年記念イベントに招かれた際、話したこと。
井口はメジャー4年で打率.268、44本塁打、205打点という成績を残した。日本での成績に比べれば目立たないものだが、彼にはメジャー挑戦1年目にワールドシリーズ優勝を勝ち取ったという事実がある。実はこれが、何よりも大きい。
今から2年前の2015年の1月に行われたホワイトソックスのファン感謝祭でのこと。「ワールドシリーズ優勝10周年記念」イベントに招かれた井口は、連日のようにファンから感謝の言葉を述べられては、記念撮影やサイン会に駆り出されていた。
特設会場でのファンとの質疑応答では当時の思い出話に花が咲いた。もちろん、レッドソックス戦での逆転3点本塁打のことも話題になった。その際、ホワイトソックス移籍後の打席での「自己犠牲」を問われた井口は、こう答えている。
「日本ではああいう打撃はしてなかったですけど、シーズンが始まる前、オジー(・ギーエン監督)から『チームの勝利のために犠牲になってくれ』と言われていましたから……優勝できて良かったですよ」