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CL連覇狙うレアルの本質は中盤だ。
クロース&モドリッチ、最強の2人。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byAFLO
posted2017/06/01 11:00
昨季ビッグイヤーを手にしたクロースとモドリッチ。彼ら中盤が機能する今のレアルは、手のつけられない強さを見せている。
カゼミーロとのユニットを築き上げたのは、ジダン。
彼を育んだディナモ・ザグレブの下部組織は、バルセロナやアヤックス、スポルティングなどと並び称される名門アカデミーである。過去にはロベルト・プロシネチュキやズボニミール・ボバンといった中盤のレジェンドを輩出してきたが、モドリッチはすでに彼らを凌駕する。
2人の英雄は欧州の頂点を1度極めたが、この後進はすでに2度制覇(ちなみにクロースも2度の欧州制覇の実績を持つ)。つまり本当の意味で、誉れ高きディナモのユースが送り出した最高傑作なのである。
先ごろ、元イングランド代表リオ・ファーディナンドは、この二人にイスコを加えた3人を、シャビとイニエスタ、セルヒオ・ブスケッツが形成した全盛期のバルサの中盤と比較した。
さらには守備的MFカゼミーロが、少し高めの位置から全体に目を光らせるマドリーのミッドフィールドに死角は見当たらない。見出しに使いやすいBBCが表の看板ながら、今のマドリーの強さの源は中盤にあると僕は思う。なにしろこれは、不世出のミッドフィールダー、ジダンが築き上げたチームなのだから。
指揮官が現役時代に見せたエレガンスを投影したような現在のマドリー。このチームなら、CL史上初の連覇にもふさわしい気がする。