セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
本田圭佑の何が敬意を呼んだのか。
ミランが最後に主将を託した理由。
posted2017/05/30 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
「ケイスケは今日、“カピターノ”だから」
本田がゲームキャプテン? まさか。
カリアリのスタジアムに着くなり、顔馴染みのミラン広報が茶目っ気たっぷりに言ってきた。
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半信半疑だったが、果たして“ミランのキャプテン本田”は現実だった。
抜けるような青空の下、白いアウェー用ユニフォームを着てグラウンドに現れた本田の左腕には、確かに赤いキャプテンマークが巻かれていた。
もう夏の匂いのするサルデーニャ島で、ミランでの本田のラストゲームはサプライズとともに始まった。
ミランは前節ボローニャ戦で6位を確定させ、来季のヨーロッパリーグ(EL)3次予選出場権を獲得。4季ぶりの欧州カップ戦復帰への道が開けたことで、ミランの今季最後の遠征は祝賀ムードに溢れていた。
対戦相手のカリアリにしても、セリエA残留を早々に決めており、最終戦に今更差し迫った目標があろうはずもない。
ボローニャ戦の後半から途中出場した本田は、今季初得点となる鮮やかなFKゴールを決めていた。
こんな試合でも、サッカーは甘くなかった。
「本田には今季わずかなプレー機会しか与えなかった。彼がミランで過ごした3年半とそのプロ意識に(キャプテンマークを託すことで)報いてあげたかった」
今季本田を冷遇してきた指揮官モンテッラは、もはや何のプレッシャーもないはずの最終戦で、10番に花道を飾らせたかったらしい。
だが試合は厄介な生き物で、思ったようにコトが運ぶほどサッカーは甘くなかった。
昨秋のジェノア戦以来7カ月ぶりに、グラウンドでキックオフの笛を聞いた本田は、3トップの左に入った。