“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「単なるスーパーサブじゃない」
U-20最強のドリブラー、遠藤渓太。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2017/05/18 17:00
ホンジュラス戦の試合後、「横浜F・マリノスの代表として恥ずかしくないようなプレーをしようと常に心掛けています」とコメントした遠藤。
チームのために戦うことに、やっと気付いた。
延長戦に入ってからも遠藤のキレは凄まじく、最後までサウジアラビアを苦しめた。それまでの出場の中で最高の出来と言えた。
「自分が仕掛けることで、チームにチャンスが生まれている実感があった。『これが大事なんだ』と思いました。最初はゴールが取れなくて、アシストもできなくて、試合の出番も少なかった。本当に不甲斐なかった。でも冷静に考えたら、空回りしている自分に気がついたんです。もう決勝しか無いし、チャンスは絶対に来ると思うので、自分がもしピッチに立ったら、ベンチメンバーの思いや、みんなのために、チームのためにやらないといけないとやっと気付きました」
この1試合が彼を大きく変えた。
今年に入っても、横浜FMではリーグ戦の出場すべてが途中出場であり、時にはサイドバックでの起用もあった。だが、遠藤に焦りはない。
「勢いが通用したり、それが認められるのは今だけ。どんどん月日が経てば、求められるものも大きく変わって来るので、それに対応できなくなっていく。勢いがまだあるうちに、しっかりと考えて、やるべきことをしないといけない」
もちろん、牙を捨てた訳ではない。
「ドリブル突破は僕にとって重要な武器。僕みたいなタイプはそんなにいないと思っているから、この武器を磨き上げ、成長していかないと」
「自分の得意な形でプレーできた」と手応えを語る。
決戦の地・韓国に向かう直前の5月15日。U-20ホンジュラス代表との親善試合でのこと。
試合途中から出場した遠藤は左MFに入ると、積極的に仕掛ける姿勢を前面に打ち出し、チャンスを何度も作り出した。2本目17分に左CKを得ると、正確なキックからDF板倉滉の決勝ゴールをアシストした。
結果的に、自身のゴールを決めることはできなかった。
「自分の得意な形でボールを受けられるシーンはありましたし、自分の特長を最大限に活かせているとも思った。自分の得意な形で左サイドから仕掛けられて、シュートも打てた。3本目も自分的にはいい形で抜け出しで、シュートまで持ち込むことができた」
確かな手応えを掴むことができた。
あとは待ちに待ったU-20W杯本番を迎えるのみ。