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「代打・一茂!」長嶋茂雄が原辰徳に“屈辱の代打宣告”…打率1割の一茂に代えた非情な采配「監督は僕のことが嫌いだったのかもしれないね」
posted2025/06/28 11:01

全盛期の輝きを取り戻せない原辰徳に、長嶋茂雄監督が下した決断とは?
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Keiji Ishikawa
長嶋茂雄と原辰徳。巨人軍の監督を継承した二人の師弟関係に迫る。Sports Graphic Number751号(2010年4月1日売)『人間交差点/長嶋茂雄×原辰徳「帝王学伝承の内幕 非情と愛情と」』を特別に無料公開します。【全3回の2回目/第1回、第3回も公開中】※表記などはすべて初出時のまま
誰もが驚いた「代打・長嶋!」
この年(1994年)の原は、ケガから復帰してもスタメンを外されることが多くなった。代打はおろか、時には落合の守備固めや代走での出場と、通算1000試合以上「巨人の4番」を務めた選手とは思えない扱いが続いた。
そして誰もが驚いた采配があった。
94年9月7日の横浜戦。
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0対0で迎えた7回1死。6番に入っていた原がバッターボックスに向かおうとしたとき、ベンチを飛び出した長嶋監督が審判にこう告げた。
「代打・長嶋!」
原に代わって、同じ右打者の長嶋一茂を指名したのだった。