プロ野球亭日乗BACK NUMBER
超攻撃的野球と無失点の中継ぎ陣。
侍ジャパン、あとは松井裕樹だけ。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2015/11/16 12:30
9回表、松井は逆転二塁打を許したが、強攻策を取った打線に救われた。若きクローザーは反省点を活かし決勝トーナメントを抑えられるか。
「前田でいきます」
「スタートから出る選手も後から出る選手も、心の準備ができている。みんな同じ目標に向けて進んでいくこともできている。いい形で勝負の準々決勝に進むことができた」
1次リーグ初戦からチャレンジャー野球で戦い抜く小久保監督は、狙い通りの1次リーグ全勝突破に、こう声を弾ませた。
いよいよ今日16日、準々決勝のプエルトリコ戦からは、負ければ終わりのトーナメントの戦いが始まる。
「前田でいきます。日本のエースですから。堂々とマウンドでねじ伏せてほしい」
準々決勝のプエルトリコ戦の先発に、小久保監督は前田健太投手(広島)を指名した。
台湾の初戦となった11日のメキシコ戦から中4日のマウンド。
「中4日は大丈夫です。絶好調とは言えないかもしれないけど、その日の100%を出したい」
メキシコ戦では強風を背中から受けて変化球が曲がらず、制球に苦労した。5回を投げて5安打2失点。本人曰く「シーズンを通しても一番ひどかった」という内容だったが、それでも投げる中で何とか修正しながら、ゲームを作ったのはさすがというところだろう。
心強い中継ぎ陣の好調。
開幕当初は、第1戦で先発した大谷翔平投手(日本ハム)のこの試合での先発を予想する声もあったが、悪コンディションの中でも大崩れせずにゲームメイクできる経験と能力の高さを買っての先発指名だったわけだ。
それだけに、プエルトリコ戦のポイントは、いかに先取点を取って前田に楽なペースで投げさせることができるか。そしてもう一つは前田の後をどうつないでダブルストッパーの松井裕樹(楽天)と澤村拓一(巨人)につないでいくかという継投になるはずである。
その意味では心強いのは中継ぎ陣が好調なことだった。
ロングリリーフを含めて「きつい場面で行ってもらうと本人にも伝えてある」(小久保監督)というジョーカー的役割を担う則本昂大投手(楽天)が、大会に入ってから絶好調。さらに増井浩俊投手(日本ハム)、山崎康晃投手(DeNA)、牧田和久投手(西武)というリリーフ陣が無失点ピッチングを続けている。
あとは15日のベネズエラ戦で捕まった松井がどう立ち直ってくれるか、だ。