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SB、楽天、DeNAが指名の勝ち組?
12球団の2015年ドラフトを完全採点!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/10/23 16:10
今年の目玉、高橋純平を引き当てたソフトバンクの工藤監督。日本シリーズへ向けて景気づけになっただろうか。
チーム作りの再スタート地点に立った中日、オリックス。
【中日75点、オリックス70点】
高橋を抽選で外し、外れ1位で小笠原慎之介(東海大相模・投手)の交渉権を得た中日は昨年に続く即戦力志向の指名になったが、1位の小笠原に大物感があり、夏の甲子園大会優勝という付加価値もついて、非常に見栄えのする指名になった。
小笠原は確かに甲子園の優勝投手になったが、出来としては春の県大会当時のほうがよかった。変化球を曲げたい気持ちが強かったのか、夏は春より腕が横から出ていたのだ。それでも甲子園で勝っているというところに強運を感じる。さらに中日は2位以下でも意欲的な指名を展開、とくに3位の木下拓哉(トヨタ自動車・捕手)はこの順位で獲れると思っていなかったのでお得感が強い。
オリックスは高齢化している野手陣の強化をめざし1位で吉田正尚(青山学院大・外野手)を単独指名、2位で社会人屈指の評価がある近藤大亮(パナソニック)を指名した。吉田の指名を見てT-岡田のファーストへのコンバート構想があるのかなと思った。近藤は故障者が続出した投手陣の補強にはぴったりの素材。3位に3拍子揃った大城滉二(立教大・遊撃手)、8位に速球派のリリーフタイプ・角屋龍太(ジェイプロジェクト・投手)も指名、弱点補強に一定の成果を見せた。
指名に迷いが見えたヤクルト、巨人、阪神、日本ハム。
【ヤクルト、巨人、阪神、日本ハム各60点】
ヤクルトは高山俊(明治大・外野手)の抽選で負けたのが痛い。その高山を抽選で獲得した阪神の点が低いのは、阪神の外野陣が即戦力型の外野手をそれほど必要としていないと思うからだ。新人江越大賀と伊藤隼太に成長の跡が見え、横田慎太郎も成長株として名前が挙がる。大和がいてマートンの代わりに外国人も入るだろう。そこに高山は果たして必要だろうか。金本知憲新監督はインタビューで、高山も即戦力でなく将来性を買ったといい、チャンスメーカータイプのバッティングを3番を打てる形に変えると言った。
しかし、チャンスメーカー的なバッティングは長打を捨てた末に得たもの。「将来性~」もピントがズレていると思う。今の形のまま一軍で起用するというのが高山に回り道をさせない最良の道だと思う。
巨人は秋の成長が著しい桜井俊貴(立命館大・投手)、日本ハムは外れ外れ1位で上原健太(明治大・投手)を指名した。この低評価はあえて「1年目」と限定したい。桜井は春のリーグ戦までは投球フォームのきれいな本格派、という印象が強く残っている。そこからの成長が本物ならもっと評価が上がるが、2位以下に巨人らしい欲望の強さが見えなかったので全体的な評価を下げた。