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〈祝40歳〉「イブラ様」のヤンチャで男前な5大事件 テコンドーで敵も味方もKO、無礼な若手に激怒 でも日韓W杯で…
posted2021/10/03 06:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images/Takuya Sugiyama
10月3日、ミランのFWズラタン・イブラヒモビッチは、40歳の誕生日を迎えた。
四十にして惑わず。『論語』にいう「不惑」を迎えたわけだが、そもそも自らを“神”と称するほど傲岸不遜の彼が、これまで不惑でなかったことがあるだろうか。
先月、『フランス・フットボール』誌のインタビューで、イブラヒモビッチはこうのたまっている。
「天性の素質のみでいうなら、俺はメッシやC・ロナウドに決して劣っていない。俺のキャリアにバロンドール受賞歴がない? 受賞者リストの方が“イブラヒモビッチの名前がない”って嘆いているだろうよ」
ライバルや監督、メディアに怪我……イブラヒモビッチは神様のはずなのに噛み付く相手を問わない。有形無形の森羅万象よ、俺様の前にひれ伏すがいい。
波乱万丈のプロ生活は23年目を迎えた。イブラ神の誕生日を祝して、サッカー界を騒がせてきた数々の事件をふり返ってみたい。
1)ミハイロビッチ頭突き事件→マブダチに
04年の夏、アヤックスから期待の大型FWとして22歳のズラタンが常勝軍団ユベントスへやってきた。剥き身のナイフみたいに全身から野心をギラギラ発散していた若き日のイブラヒモビッチは、名将カペッロの猛シゴキに耐え1年目から主力として台頭、2季連続スクデットに貢献した(※のちに剥奪)。
若さのエネルギーが暴発したのが、05年4月20日、インテルとのイタリア・ダービーだ。まず手始めに相手DFコルドバの首をぶん殴ってKOすると、次の標的は武闘派DFミハイロビッチだった。激しい競り合いの後、もつれ合って地面へ倒れ込んだイブラは、起き上がりざまミハイロビッチの顔面めがけて頭突きをくらわした。
当然、悪童には3試合出場停止処分が下されたが、これをきっかけにイブラとミハイロビッチの間には男の友情が芽生えた。
ともにバルカン半島を出自に持つ彼らは意気投合し、今では大の親友に。今年春にはイタリアの風物詩であるサンレモ音楽祭で共演し、タキシード姿で生放送デュエットまで披露したのだから、本当に人生というものはわからない。